「人的資本経営」をテーマに5社が協働で検証を実施・レポート化
富士通は、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」をパーパスに掲げ、企業活動を推進している。そのような中、同社は2022年より、幅広い業種の経営層(CxOクラス)と社会課題の解決にフォーカスした議論を行い、その成果を社会へ提言するCxOラウンドテーブルのプロジェクトを始動した。2022年度には、CTO(最高技術責任者)を対象としたCTOラウンドテーブルや、CMO(最高マーケティング責任者)を対象としたCMOラウンドテーブルを立ち上げ、取り組みを加速してきたという。これらと同様に、CHROを対象としたCHROラウンドテーブルも創立。パナソニックホールディングス株式会社、丸紅株式会社、KDDI株式会社、オムロン株式会社の4社のCHROなどが参加している。CHROラウンドテーブルでは、昨今注目が集まる「人的資本経営」をテーマに、「経営戦略と連動した人事戦略についてどう実践するか」、「人的資本に関わるデータをどのように可視化し、ステークホルダーに伝えるか」といった課題をあげ、さまざまな仮説をもとにデータを用いた検証が実施されたとのことだ。そして今般、その結果をレポート化した「CHRO Roundtable Report」の公開に至ったという。
人的資本価値向上モデルにより全体構造を可視化。より説得力のあるストーリーの構築へ
本レポートには、CHROラウンドテーブルに参加した各社がともに作成した、人的資本への投資がどのように企業価値向上につながっているかを可視化するための「人的資本価値向上モデル」が記載されている。人的資本経営の実践にあたり、企業のビジョンから成長戦略と人事戦略を説得力のあるストーリーで語るために、企業価値向上の指標となりうる人事データなどとのつながりについても、根拠をもって説明可能とするフレームワークとなっているという。同モデル内に記載されている図1では、富士通とCHROラウンドテーブルの参加企業が議論を重ねて作成した人的資本価値向上モデルとして、経営戦略の実現に必要不可欠な人材戦略上の取り組みを示している。このモデルに人事施策をプロットして整理することで、それぞれの施策がどのように企業価値向上につながっているのか、全体構造を捉えて可視化することができるという。
図1:人的資本価値向上モデルのイメージ
図2:「人的資本価値向上モデル」を活用するプロセス
2023年の3月期決算から、上場企業を対象に人的資本の情報開示が義務化されるなど、企業の人的資本経営は今後ますます重要視されるだろう。人的資本経営に取り組んでいきたい企業では、本モデルを用いるなどして、企業価値向上につながる課題や施策を可視化させてみてはいかがだろうか。