「管理職になりたくない」とした人は7割以上に
リモートワークの普及など働き方が多様化した今、ワークライフバランスを重視することから、仕事において“成長を求めない”、“高みを目指さない”人も増えているという。企業においても、部下のマネジメント等がミッションとなる管理職になりたいかどうかは、個人によって意見が分かれるところだろう。また最近では女性活躍も企業の課題となっており、女性管理職の登用がこれまで以上に求められている。「管理職になりたくない」、「向いているか分からない」といった悩みを抱える人も多い中、調査時点で非管理職の会社員には、出世欲はあるのだろうか。はじめに識学は、管理職ではない人を対象に「管理職になりたいか」を訪ねた。すると、「なりたいと思う」(8%)と「条件によってはなりたいと思う」(20%)の合計は、28%にとどまった。
一方で、「なりたいとは思わない」は70.2%となり、管理職への出世を望まない人が7割を超えることがわかった。
「管理職になりたい」とした女性はごくわずかにとどまる
また、前設問に対する回答を男女別にみると、「管理職になりたいと思う」としたのは男性が12%、女性はわずか4%だった。さらに、「子どもの有無」で内訳をみると、「子どもがいる」人は「管理職になりたいと思う」との回答が10%だったのに対し、「子どもはいない」人は6.3%だった。同社は、「子どもがいるから頑張りたいというモチベーションが明確にある方のほうが、管理職になりたい傾向にあるようだ」との見解を示している。
管理職になりたくない理由は「出世欲がない」、「責任が伴う」などが上位に
次に同社は、非管理職のうち「管理職になりたくない」とした回答者に対し、「その理由」を訪ねた。その結果、「出世欲がないから」が50.9%と最も多く、以下、「責任が伴うから」が50%、「仕事量が増えるから」が42.6%と続いた。また、「現状に満足しているから」は9.3%、「今やりたい仕事ができなくなるから」は7.4%と、出世することで現在の仕事ができなくなることは大きな理由ではなく、根本的に“出世をしたくない”という考えの人もいることが見て取れる。自由回答からは、「性格的に向いていない」など、管理職になる自信がないという声も多くあがったという。
管理職の立場で苦労していることは「部下の指導や育成」が最多
続いて同社は、管理職を対象に「管理職の立場で苦労していること」を尋ねた。すると、「部下の指導や育成」が49.3%と最も高く、以降、「責任が重い」が39.3%、「部下とのコミュニケーション」が36.7%、「上司と部下との板挟み」が34%と続いた。非管理職の回答でも上位にあがった「責任の重さ」や、上司や部下との「人間関係」に苦労している様子がうかがえる。一方で、「管理職の立場でやりがいに思うこと」を尋ねると、「やりたいことができること」、「自分が成長できる」、「チームで成果をあげること」が上位にあがったという。このことから、自己実現やチームとして成し遂げることは、管理職の大きなやりがいにつながっていると推測できる。
管理職として「十分な権限がある」と感じるのは半数程度
次に同社は、「管理職として自分の役割を果たすために、“部下に戦略遂行を指示する”“部署内のルールを作る”などの十分な権限があると感じるか」を尋ねた。権限があると「感じる」は54.7%、「どちらでもない」は26%、「感じない」は19.3%と、半数近くの管理職は権限が十分にあると感じていないことがわかった。約6割が“女性管理職を増やす動き”について「賛成」と回答
続いて同社が、「女性管理職を増やす社会全体の動きについてどう思うか」を尋ねたところ、「賛成」は59%と約6割におよんだ。他方で、「どちらとも言えない」は34.3%、「反対」は6.7%だった。「賛成の理由」を尋ねると、「人材は多いほうがよい」、「性別で能力が低いというような風潮が払拭できて好ましい」などがあがった。
また、「どちらとも言えない」、「反対」の理由を尋ねると、「性別にとらわれずにみんなが活躍できる社会がよいと思う」や「子育てしながら共働きで女性管理職は難しい。しかし、女性管理職がいないと妊娠や子育てのつらさを理解してもらえない欠点もある」などの声があがったという。性別による区別自体に疑問を持つ人や、女性管理職登用へのシステムが追いついていないことを課題視する人もいるようだ。