新卒生の7割が「ジョブ型」を歓迎。「希望する部署・職種が叶うか」は入社に影響か
働き方や働くことへの価値観が多様化する昨今、入社後間もない若手社員は、どのような志向を持っているのだろうか。近年日本でも「ジョブ型雇用」への転換が進んでいることを踏まえ、JMAMははじめに、「企業があらかじめ定義した職務内容(ジョブ)にもとづいて採用・配置・処遇などが決まる制度への移行を歓迎するか」と22卒生に尋ねた。すると、「そう思う」が76.9%と過半数を占めた。また、「自分が希望する部署や職種で働けるかどうかが、入社意向に影響したか」と問うと、63.8%が「はい」と回答した。新入社員の7割以上が「ジョブ型の採用・配置・処遇」を歓迎しているほか、「希望する部署・職種への配属」が6割以上の新入社員の入社意向に影響していることが判明した。
「キャリアがイメージしづらい」が、配属後の課題や不安の上位に
続いてJMAMは、「配属1~3ヵ月後の課題・不安」について尋ねた結果について、2022年調査(22卒)の結果と直近3年間の回答結果を比べた。その結果、2021年調査(21卒)と比較して大きく順位が上昇した項目は「生活リズムがつかめない」(17.2%)で、10位から1位となっていた。2021年の順位が低かったことについて同社は、「配属後の時期が緊急事態宣言、まん延防止等重点措置期間にあたり、在宅勤務割合が高かったことが要因の一つ」と分析している。また、新型コロナウイルス感染症の流行前(2019年/19卒)と比べて、21卒の順位が上昇していた項目は「仕事が自分にあっているか」(16.8%)、「担当する業務の知識・手順がわからない」(14.9%)、「何がわからないのかわからない」(14.2%)だった。この結果から、新卒生は「コロナ禍前よりも仕事内容や業務手順が把握できていないため、業務を通じたキャリア形成、課題認識がしづらい状況」にあることが推測できる。
Z世代は「挑戦よりも失敗を回避したい傾向」が強まっている
さらに同社は、「若手社員の成長意欲」に関して分析を行っている。まず、「『失敗すること』に関してどう考えるか」では、2020年以降どの年の新入社員も、70%以上が「失敗から学ぶことは多いので、恐れずに取り組むことが大切である」と回答した。その一方で、「仕事を一人で担当していけるようになったら、どのような仕事を任されたいか」の質問に対しては、どの年度も5割超が「失敗したくないので、責任ある大きな仕事は任されたくない」と回答している。また、「自分自身が成長することについてどのように考えるか」という質問では、「無理のない範囲で業務に取り組みたい」が54.5%で過半数となった。「一時的に業務の負荷や労働時間が増えても挑戦したい」との回答を上回り、「挑戦よりも失敗を回避したい」と考えている傾向が見られた。同社は「Z世代の入社が本格化し始めた2020年以降から回避したいと考える層の割合が優位になっている」との見解を示している。
約6割が「考えが合わない上司とは距離をとる」と答える
最後に、「新入社員における上司・先輩との関わり方」について同社が結果を経年でまとめたものを紹介する。「上司・先輩から叱られたら、その後、どのような関係を持とうと思うか」について、約6割が「こちらから関わりを持ち、必死で食らいつこうと思う」と回答。その一方で、「価値観が合わない上司・先輩にどのように関わっていこうと思うか」に対しては、約6割が「自分から歩み寄ろうとは思わない」と回答した。また、「仕事に行き詰ったとき、どのように感じるか」には、「その状況を上司・先輩に察してもらい、話しかけてほしい」を選択した人の割合が55.6%と半数を上回った。「他者に働きかけるか」を尋ねたところ、「はい」と答えたZ世代は61.6%となり、他世代(ミレニアル・氷河期・バブル期)を下回っていた。どちらかというと、“指導者側への期待”が大きい世代のようだ。