パーソルキャリア株式会社は2022年9月12日、同社が実施しているビジネスパーソンと企業間の“転職や仕事に対する意識差”を探る調査の中から、「男性の育児休業」(以下、育休)に関する回答結果を発表した。調査期間は2022年8月15日~18日で、転職意向があり、「将来的に子どもを持ちたい」と考える(既に子どもがいる人を含む)20代~30代の男性(以下、個人)200名と、企業の人事担当者(以下、企業)200名の、計400名から回答を得た。これにより、個人・企業の育休取得意向や転職先選びへの影響度などが明らかとなった。
10月の「産後パパ育休」、「育休の分割取得」施行を前に、企業の“男性育休の取得しやすさ”は向上しているのか?

「育休取得のしやすさ」は個人・企業でギャップなし。一方で個人の取得意向とはギャップも

「改正育児・介護休業法」により、現行の育休とは別に、子どもの出生後8週間以内に4週間まで取得可能な「産後パパ育休(出生時育児休業)」や、子どもが1歳になるまでの育休を分割して2回取得できる「育児休業の分割取得」が、2022年10月より施行される。これにより、個人・企業における「育休の取得しやすさ」の認識は変わるのだろうか。

まず、パーソルキャリアが「自社での育休取得のしやすさ(現状)」について尋ねると、「取得しやすい」の回答率が個人・企業共に57.5%だった。取得のしやすさについての認識は、個人・企業間にギャップがないことがうかがえる。

しかし、個人に「育休の取得意向」を聞くと、「取得したい」が90%となり、「取得しやすさ」とは大きなギャップがあることがわかった。
自社での育休取得のしやすさ

育休取得の不安、個人は「収入の減少」、企業は「業務の引継ぎ」が最多に

続いて、同社は「育休取得にあたっての不安」について質問している。その結果、個人の上位は「収入の減少」が49.5%、「業務の引継ぎ」が48%、「昇進への影響」が34%となった。

企業の上位は、「業務の引継ぎ」が43.5%、「収入の減少」が41.5%、「昇進への影響」と「人間関係の悪化」が共に30%だった。
育休取得にあたっての不安

「育休の分割取得」導入が「取得時の不安軽減につながる」と双方から期待の声

次に、同社が「『育休の分割取得』導入による取得のしやすさの変化」について調べている。すると、「取得しやすくなると思う」が個人では81.5%、企業では81%と、共に8割以上となった。
「育児休業の分割取得」導入による取得のしやすさの変化
また、「育休の分割取得制度」の導入により「軽減されそうな不安の内容」を尋ねると、「育休取得時の不安」で上位にあがっていた「収入の減少」や「業務の引継ぎ」のほかに、「仕事の技術や能力が落ちること」(個人:34%、企業:32.5%)や、「復帰時の受け入れ体制」(個人:29.5%、企業:27%)にも回答が集まった。

あわせて、「不安が軽減されると思う理由」を聞くと、「仕事のブランクが短くなるので、能力や技術が落ちづらくなりそう」や「業務へのモチベーションを維持しやすくなりそう」といった回答があった。同社は、「分割取得が、育休後の職場復帰のしやすさに好影響を与えるのではないか」と予測している。
「育休の分割取得制度」の導入により軽減されそうな不安の内容

個人・企業共に7割以上が「育休取得率の高さが転職時の応募動機に影響する」と回答

続いて同社は、“転職意向のある個人”と“中途人材を求めている企業”に対して、「育休取得実施率の高さが、転職時の応募に影響すると思うか」を尋ねている。すると、「影響する」が個人では74%、企業では73.5%だった。
育休取得実施率の高さが、転職時の応募に影響すると思うか

転職先に求めるワーク・ライフ・バランス制度として「育休制度」が上位に

また、「転職先を選ぶ際に重要視するワーク・ライフ・バランス制度」について質問すると、個人では「リフレッシュ休暇制度」が45%、「リモートワーク制度」が41.5%、「育休制度」が40%だった。

企業では「リモートワーク制度」が51.5%、「フレックス制度」が48.5%、「育休制度」が47.5%となり、転職時には個人・企業共に育休制度を重視していることがうかがえる。
転職先を選ぶ際に重要視するワーク・ライフ・バランス制度
本調査より、多くの個人・企業が、転職先への応募に「育休取得実施率が影響する」と感じていることがわかった。中途人材の採用活動時に、自社での取り組みや育休取得実施率等の開示をすることも、人材獲得へ向けた有効手段のひとつになるのではないだろうか。

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