アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.は2022年7月19日、「2022年度 中小企業の企業間決済に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2022年6月3日~5日で、年間売上規模が約1億円以上250億円未満の中小企業の経営者と従業員計600人(営業部門300人、経理部門300人)から回答を得た。これにより、中小企業が支払いを受ける際、または行う際に感じている課題や企業間決済の実態について明らかとなった。
中小企業の5割で“企業間決済”における「与信審査」や「資金繰り」に課題。支払い遅延案件のうち2割が未回収との結果に

企業間決済における課題の実態とは?

中小企業では、企業間取引に伴う決済においてどのような課題を抱えているのだろうか。まず、アメリカン・エキスプレスが「企業間決済業務にまつわる課題」について、“支払いを受ける際”と“支払いを行う際”に分けて尋ねた。その結果、「とても課題を感じている」と「課題を感じている」の合計が最も多かったのは、“支払いを受ける際”では「新規取引先の与信審査」で54.1%だった。以下、「取引先の倒産」が48.4%、「売掛金の貸し倒れや支払い遅延」と「既存取引先の与信管理」が45%と続いた。

一方で“支払いを行う際”では、「資金繰り」が55.6%、「財務活動におけるキャッシュフロー」が53%、「投資活動におけるキャッシュフロー」が51.3%で上位回答となった。
企業間決済業務にまつわる課題

「支払い遅延が起きた案件」の2割は未回収。営業部門が交渉を行うケースも

続いて、企業の経理部問の担当者に尋ねた結果を元に、同社が「過去1年間の、取引先から自社への支払いのうち、支払い遅延が発生した案件」を調べると、「全取引における支払い遅延発生率」は4.6%だった。また、「支払い遅延があった案件の回収率」を調べると、「回収済み」が78.4%、「回収できていない」が21.6%となっていた。

「支払い遅延を回収できた要因」をヒアリングすると、トップは「営業担当者が連絡し交渉した」が67.6%となった。同社は、「回収については、経理だけでなく営業部門も業務に携わらざるを得ない状況がうかがえる」とコメントしている。
過去1年間の自社への支払い遅延の発生率と回収率、回収できた要因

企業間決済は「銀行振込」が主流。キャッシュレス決済の導入率は低い現状

続いて、同社が「企業間決済で行われている具体的な支払い方法」について複数回答で尋ねると、取引先から支払いを受ける際に使用している決済方法は、トップが「銀行振込」で、89.4%と9割に迫った。以下、「手形・小切手」が30.3%、「現金」が23.6%と続いた。一方、導入率が低かったのは「クレジットカード決済」の6.2%、「その他キャッシュレス決済」の3.3%だった。

また、取引先へ支払う際の決済方法も「銀行振込」が94.1%で最も多く、続いて「現金」が41.7%、「口座振替」が41%となった。一方で順位が低かったのは「クレジットカード決済」(19.6%)、「その他キャッシュレス決済」(2.7%)だった。
企業間決済において支払いを受ける際・行う際の決済方法

社員が効率化したい決済方法は「現金」や「手形」が半数以上に

最後に、同社が「利用している決済方法で効率化したいもの」を尋ねたところ、「現金」が56.5%、「手形・小切手」が56.1%と、共に過半数の回答を集めた。
効率化したい決済方法
本調査より、中小企業における企業間決済では、「新規取引先の与信審査」などが課題となっていることがわかった。中には回収不能のリスクを抱える実態もあり、今回の回答者の過半数は「現金や手形の決済を効率化したい」と感じているようだ。自社でも既存の決済方法の見直しが必要かどうかを調査してみてもよいのかもしれない。

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