「世帯経営ノート」を活用した面談をすることで、トラブル軽減や中長期のキャリア形成を目指す
35歳以下の若手社員が社員の半数を占めるパーソルテクノロジースタッフでは、かねてより「産休・育休後のキャリア分断」に課題意識をもっていた。実際に産休・育休を経て復職した社員のなかには、「家事・育児と仕事の両立」に課題を抱えているケースが多く見受けられるという。また、Logistaが実施した「仕事と子育ての両立に関する調査」によると、既婚者の9割以上が「夫婦関係は仕事に影響する」と回答しており、家庭内トラブルによる心身の負担は、仕事にも影響することが明らかとなっている。さらに、パーソルテクノロジースタッフの社員のうち約8割は、「クライアント先で就業するエンジニア」だという。産休・育休からの復職先が旧知の職場ではないことも多いため、「“長期的に目指すキャリア”に向けたイメージを継続して持ちにくい」という課題も抱えている。
そこで同社は、「復職後の家庭内トラブルを最小限にし、心身の負担を軽減しながら仕事に取り組めるようにすること」、「産休・育休を経てもキャリアを分断することなく仕事を通じた成長を続けられること」を目的として、「世帯経営ノート」の配布を開始した。上記の通り、産休・育休を取得する社員および、パートナーが出産予定の社員(希望者のみ)に配布し、産休前の面談で活用するという。
「世帯経営ノート」とは、妊娠〜産後・育児期の夫婦が、「世帯の共同経営者」という概念を持ち、暮らし方や働き方について「夫婦会議」を行う際に活用するノートだ。ビジョン・家事・子育て・仕事など、産後に夫婦間の認識のズレが生じがちな10のテーマに沿って質問や例題が設定されている。
パーソルテクノロジースタッフでは、産休前に「世帯経営ノート」を活用しながら、社員と人事担当者の面談を実施。面談では、社員に「復職後どのように働きたいか」、「どのようなキャリアを考えているか」といった価値観やイメージを持たせ、休職期間中に夫婦で認識をすり合わせるべきことをアドバイスする。社員がそれに基づいて「夫婦会議」を実施することで復職後の家庭内トラブルを防ぎ、 “個人の強みを活かしながら活躍できる環境”を提供していきたいという。
「産休・育休前と復職後で、女性のキャリアが分断される」という課題を持つ企業は多いのではないだろうか。休業中の過ごし方や夫婦の良好な関係構築を企業としてサポートすること、また復職後のキャリアについてあらかじめ話し合っておくことが、復職後のトラブルを軽減させ、女性がより活躍できる環境を構築するかもしれない。