この夏の猛暑と低温、豪雨による災害。「これまでの生活の仕方ではまずいな」と感じる方は多いはず。
例年夏のキュウリは持てあますほどにあるのに、今年は売り切れた空のスペースに出会うことが度々だった。
あって当たり前のものも、天候不順や災害であっと言う間になくなる。それを覚悟していた方が良い。つまり、そのつもりで暮らすこと。見えない時間、わからない時間が大切ということを学んだ。
安全と健康を守るシステム作りと習慣

 災害時、公助も頼りにしたいが、“今すぐ”頼れない事はこの所の災害続きで身にしみている。
 今までにも増して、安全や健康を組織的に守る体制づくりは企業にとって生き残り策のひとつであることは間違いない。そのためのシステム作りが肝である。このシステム作りをしておかないと誰かを犯人にして“ピリオド”となり、また同じことが繰り返される。

 システム作りにトップの方針は付き物で、絵に描いた餅になりがちだが、3.11の震災での製紙会社の復活などでも分かるように、本気の旗印、具体的な目標は不可能を可能にしていく力があることを教えてくれる。

 企業生命を組織を構成する個々人の細胞の集合体とみなした場合, いざという時の判断、日頃の生活の仕方が企業生命にも影響する。個々の細胞という生命体のもつ習慣、潜在意識に拠ることになる。
 個々人の自己管理能力の高さは、その人がどの位よい習慣をもっているかによる。安全や健康問題に発した労務トラブルの増加で人事担当者が倒れてはたまらない。見えにくいものを見るにはどうしたらよいのか。

 前述の通り、見えない時間、わからない時間が重要で、そのつもりで仕事を進めることだ。うちの会社は関係ない、ことはない。いざとなって“安全配慮義務”の問題であたふたしないためにも。
 まずは見えているものから判断して対策を練っていくこと、リスクアセスメントに基づいたものであることがポイントになる。自己管理能力、よい習慣をもつための教育は欠かせない。よい習慣をもった社員がつくる風はいずれ企業の文化になっていく。
 見えない問題に思いあぐねて、あぐねをとっていく時、“生物としての行動”を介して進めると開けることがある。災害時においては、逃げる力、掴む力のありやなしやで生死を分ける。事例を多く聞いた。その力、これが意外や日頃の“食べ方”が多いに関係しているという。つまりその人の積み上げ、習慣の根っこの所で“食”は深く関係しているからだ。

 人のコミュニケーションの仕方もソーシャルスタイル理論によると、生まれて成人する頃までの無数のコミュニケーションのうち、“自分にとっていい結果をもたらしたもの”がその人のコミュニケーションのクセ、つまり習慣化した言動パターン、ソーシャルスタイルとして固まると言われている。
 誰もが分かる言動を大きく4つのパターンに分類して相手を理解し、対応策をたてるものである。ソーシャルスタイル理論は相手を変えようとはせず、相手のクセに合わせる行動をとることでよい人間関係を結ぶ手法である。

 ここで身近な体のクセについて少し。
いつも左耳で聞く携帯電話を右耳で聴いてみる、隅っこの椅子に座るところを真ん中に座ってみる、掃除機を持つ手を左右逆にしてみる、右に持つバックを左にしてみる、などすると違和感がある。それが体についたクセである。ジムのロッカーの場所、飲み屋のカウンターの好みの場所がある。これらはヨガ的には背骨の歪みと関係し、バランスがとれず偏っている表れという。その歪みも自らのクセが作っている。
 これらのクセは自分にとっては心地よいが、背骨を中心にしたバランスから見るとそのクセが背骨やら内臓にも影響を及ぼし不調や病気の元となっていく。腰椎、頸椎を整えることで、使用前、使用後ほどの快適さの違いを体感することはしばしばである。なるべく短い単位で修正しないと悪い習慣となり、病気さんいらっしゃいになっていく。走るトレーニングをする場合もトラックを右回りばかりでなく、左回りもすることで体のバランスがよくなりよい効果がでると聞いた。

 個人も企業も今の環境は自分で作ったものと考えると腑に落ちる。安全・健康は自らの悪いクセを整えようとすることに始まる。ならば望ましい環境、システムを得るためにはプログラミングが必要ということになる。


オフィス クロノス 人材育成コンサルタント 社会保険労務士 久保 照子

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