アパレル業界・市場の大変革が背景となった退職者募集。社員のセカンドライフ選択を尊重する姿勢
アパレル大手のオンワードHDは、約350人の退職希望者を募集する。その理由としては、企業の競争力向上を目指してグローバル事業の構造改革や成長戦略に対し積極的に取り組んでいることを挙げ、その一環として人員体制の構築と効率的な組織作りの推進、強固な経営基盤を確立させるためとしている。つまり、百貨店や小売店という店頭の減少や、ネットの台頭による通販需要の拡大など、業界や市場が大きな変革期を迎えたことから、販売戦略を大きく転換しなければならない中、転進やセカンドライフを求める社員へはその選択を尊重しようという意図があって今回の決議に至った模様だ。希望退職を受け付ける対象者は、同社に在籍する「40歳以上、勤続3年以上の一般社員」だが、「販売職は除く」としている。2020年1月7日~30日を募集期間とし、退職日は2020年2月29日付とする予定。この期間中に退職を希望した社員に対しては、規定の退職金に特別退職金を加算する優遇措置を取り、再就職支援も希望者には実施する計画だ。
この退職者募集にともなって発生する費用は、特別損失として2020年2期連結決算にて計上する予定で、業績予想への影響については確定次第公表するとしている。
販売形態が大幅に変わったとはいえ、売り場人材の質が販売力・競争力を左右しているアパレルメーカー。一般社員数や事業をスリム化する一方で、販売現場に携わる人材の質は確保しなければ競合には勝てないという難局に直面している。今回の大規模退職者募集の効果のほどはどうか、結果として現れる日が待たれる。