「パーパス経営」の取り組みの背景とは
ブライアン氏 弊社は創業以来、日本企業のクロスボーダーなコミュニケーション、コラボレーション、およびシナジーを生み出す架け橋として、特に企業の国内本社と海外拠点との関係性を強化するために、情熱を持ってコンサルティングやコーチングを行っています。この度、SOMPOホールディングスグループ(以下、SOMPOグループ)の社員と全てのステークホルダーにとって、極めて重要な取り組みに携わる機会に恵まれました。本日は、SOMPOホールディングス株式会社 人事部特命部長の加藤さんと、社外パートナーとしてSOMPOホールディングスの研修に携わる株式会社THINK AND DIALOGUE 代表取締役社長の富岡さんをお招きし、そのケーススタディを皆様にご紹介したいと思います。これは、「全社員が『マイパーパス』を原動力とし、使命感とやりがいを感じながら、SOMPOグループのパーパス実現に向けて当事者意識を持って働くために、社員一人ひとりが認知・理解強化を促すだけではなく、実践・習慣化をすることが重要である」という考えによる取り組みです。それでは加藤さんと富岡さん、自己紹介をお願いいたします。加藤氏 SOMPOグループは、損害保険事業を基点に生命保険、介護、デジタルなどの事業領域を拡大しており、現在28ヵ国にわたって展開するグローバルなグループです。「深刻化する社会課題に対峙していくために、“安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」をグループのパーパスとして掲げ、事業を行っています。
私は人事部で、グループの働き方改革推進本部の共同事務局長を務めており、マイパーパスを活用した7万5,000人の社員の“パーパスドリブンな働き方”への変革を進めています。私自身のパーパスは、「日本企業の変革を推進して社会や組織に新しい価値やインパクトを与える」というものです。
富岡氏 我々THINK AND DIALOGUEのパーパスは、「対立を超え、創造に挑む全てのリーダーたちへ『思考と対話のテクノロジー』を」です。私自身は長年、エグゼクティブコーチとして経営者の方へのコーチングを担当しています。今はDXがトレンドで、ITテクノロジーも進化していますが、それらを使わなければいけない「人」と「人」が協力し合えていません。そこで、仲間と一緒に話し、一緒に考えて創造に挑むための技術をお届けしたいとの思いから、5年前にスタートアップしました。
ブライアン氏 まずは、パーパス経営の取り組みの背景についてお話いただけますか。
加藤氏 ポイントは、3点あります。1つ目は、「資本主義や企業のあり方の見直し」です。我々は20年後、50年後を見据えて、「SOMPOグループとしてこういう社会を実現したい」というものをパーパスとして表現しました。パーパスを浸透させ、実践していくためには、「社員一人ひとりが何のためにSOMPOグループで働くのか」が非常に重要です。2つ目は、「社員の幸せ」です。何よりも社員の皆さんが元気かつ幸せでないと、SOMPOグループが成長できませんし、パーパスも実現できません。そのためにも、社員一人ひとりに「マイパーパス」をしっかり考えてもらうことが重要であるという考えに至りました。3つ目が、「ダイバーシティ&インクルージョン」という観点です。多様なマイパーパスをインクルージョンしてグループのイノベーションの力として活用していく。これがグループのさらなる成長には、必要な戦略ツールだと考えています。
ブライアン氏 パーパス経営が初めて課題として上がってきた時の気持ちをお聞かせください。
加藤氏 コロナ禍で社員がリモートで働かざるを得なくなった状況の中で、マイパーパスを使ってセリフドリブンの働き方を推進していくことをスタートさせました。その後、会社のパーパスを真剣に考えてもらうにあたって、社員の皆さんは当然、自分の人生のことも真剣に考えます。自分の人生のパーパスを考え始めると、自動的に会社のパーパスとの関係性も考えます。この2つがここ2年の間にちょうど同じようなタイミングで出てきたため、上手く繋がって一気に走り出している印象があります。
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