なお、セミナー初日にご登壇の一橋大学 名誉教授の米倉誠一郎先生、最終日のラグビー元日本代表キャプテンの廣瀬俊朗さんとは、私との対談形式でセミナーを実施しました。その模様は、それぞれ次回以降(10月・11月)のコラムで掲載いたします。今回は、Day2~4におこなわれた「パネルディスカッション」をダイジェストでお送りいたします。この3日間でそれぞれの分野のスペシャリストからいただいた「キーワード」をまとめていますので、ぜひご覧ください。
※1:「HRテクノロジー大賞」は、経済産業省、産業技術総合研究所、情報処理推進機構、中小企業基盤整備機構、株式会社東洋経済新報社、株式会社ビジネスパブリッシング、HRテクノロジーコンソーシアム(HRT)、HR総研(ProFuture株式会社)の後援で、1年に1度、日本の「HRテクノロジー」や「人事ビッグデータ」などの対しする優れた取り組みを表彰している「人事業界最大級のアワード」です。2020年は第5回が開催されました。
Day2:研究データから見る「日本流のダイバーシティ」とは
●第1部 講演講演者
正木郁太郎 氏(東京大学大学院 人文社会系研究科 研究員、成蹊大学 非常勤講師)
講演テーマ
研究データから見る「日本流のダイバーシティ」とは?
<講演ポイント>
【研究データから見る「日本の文化の特徴」とは】
・主要なアジア圏の国々と全体的な傾向は似ているものの、「上下関係の尊重」や、「挑戦」よりも「安定」を重視する点では、他国と乖離がある
・文化差を可視化することで、違いに「正しく気を付ける」ことができる
【外国籍人材が日本になじむには、どのような特徴が必要か】
・外国籍人材が自分の価値観も大切にしながら、新しい環境になじむ「Integration(統合)」というステータスが望ましい。
・データ上、来日の目的意識・モチベーションが強い人ほど日本になじみやすいという傾向がある。
・努力すべきは「なじむ側」だけではない。むしろ、受けいれる側の工夫(インクルージョン)が重要である。
・目の前の個人(外国籍人材)と向き合い、「仲間」として受けいれる上司や同僚の存在も必要ではないか。
●第2部 パネルディスカッション
パネリスト
正木郁太郎 氏
稲垣隆司
モデレータ
池照佳代 氏(株式会社アイズプラス 代表取締役、NPO法人キーパーソン21 理事、NPO IC〈インディペンデントコントラクター〉協会理事)
<ディスカッションポイント>
【異文化を受けいれるために「配慮」は必要か】
・「配慮」は度を超すと疎外感を感じさせる。「お客様扱い」にならないよう注意が必要。
・属性で決めつける「配慮」は不要。
・相手に合わせてコミュニケーションを変えていく「個人に対しての配慮」が必要。
・受けいれる側は、自分流を貫くだけではいけない。
・個人を理解し、向き合ったうえで「配慮」することが「インクルーシブ」なのではないか。
<Day2のポイント>
■外国人材が日本に「適応する」には“目的意識”が重要
■日本人が外国人材を「受容する」には“個人に向き合い「仲間」として受けいれる”ことが重要
Day3:日本人と外国人材がわかりあえる「多様化組織」の作り方とは
●パネルディスカッションパネリスト
後藤裕幸 氏(株式会社グローバルトラストネットワークス 代表取締役社長)
矢野智之 氏(株式会社アイ・ビー・エス 代表取締役)
加藤征男 氏(株式会社ECC 総合研究所 外国人支援事業推進室 室長補佐)
モデレータ
稲垣隆司
<ディスカッションポイント>
【企業を多国籍にするメリットは】
・ひとつの国の人材だけを採用すると「民族意識」が生まれる=「排他的」になる。
・多国籍の人材が一緒に働くことで「差別や偏見は恥ずかしい」という意識が生まれる。その意識が「気づきと変化」を生み出す。
・意識するべきは「日本人のグローバル化」ではない。「世界全体でグローバル化」することを考えなくてはならない。
・「理系人材」といった日本で枯渇している人材も海外には多い。
【外国人材のマネジメントのコツは】
・会社の文化に合う人を採用する。
・外国人材の文化的背景・コンテクストに即してマネジメントをする。
・言葉だけでなく、ダイアログ形式で体感させ、マインドセットをおこなう。
・漫画・イラストなどで視覚的な工夫をし、目指すゴールを具体的に見せる。
・お互いにリスペクトし合う。
【外国人材のマネジメントにおける教育と評価の工夫は】
・いかに定量化するかを心掛けている(コンピテンシー評価、360度評価、総選挙)。
・昇給案件もオープンにし、自ら手をあげさせる。
<Day3のポイント>
■これからの人材採用は「地球レベル」でおこなう
■日本人だけでなく外国人にもグローバル化が必要