人材の育成や活用に多面的に取り組んでいる株式会社ニトリホールディングス。個々の能力を最大限発揮できる環境を整えるための教育体制や制度構築など、人材を多面的に支える仕組みを整え日々変化させている。これら施策の一端を垣間見られるのが、同社が展開するメディア『ニトリン』だ。本来はニトリという会社やそこで働く人の想いを発信する媒体だが、人事視点でみると「同社の人事施策を従業員がどう受け入れ実行しているか」が働く人たちの声で紹介されている。本連載では、ニトリン編集部の協力を得て、『ニトリン』で掲載中の注目記事を厳選し、転載していく。施策の成果や浸透具合は、多くの企業で参考になるはずだ。今回は、女性社員のライフイベントに応じたニトリでの働き方について紹介する。(HRプロ編集部)
働くママ社員に聞く! 妊娠から育休、復職後の「ニトリの働き方」のリアルとは?
女性の就業率が年々上昇するなか、「ライフイベントを迎えても無理なく働ける環境は整っているの?」、「社内制度は充実している?」など働き方への関心は高まっています。

では、ニトリの女性社員はどんな働き方をしているの……?

現在第3子を妊娠しながら働く野澤亜由美さんに、先輩ママ社員として、出産前後の働き方の変化やニトリの社内制度など、働くリアルを語ってもらいました。

職場の仲間が、私の不安を拭ってくれた

――第1子を妊娠された当時、どのような仕事をされていたのですか?

野澤:第1子を妊娠したのは6年前の2014年。当時は店舗で副店長を務めており、店舗責任者として売上や売場の管理など、多岐に渡る業務をおこなっていました。店長になることを目標にバリバリと仕事を続けたいと思っていたので、仕事を辞める選択肢は頭になかったですね。

――店舗責任者として働くなかでお子さんを授かったということですが、妊娠中の働き方に不安はありませんでしたか?

野澤:もちろん不安はありました。シンプルに「副店長という責任ある立場で、周囲に迷惑がかかるのでは?」ということが頭に浮かびましたね。実際つわりなどの体調の変化で、売場に立つこと自体しんどかったり、急に体調が悪くなることもありました。

ですが、当時の店長がすごく配慮してくれたんです。私の場合は、わりと体調が良い朝型にシフトを変更してもらうなど、極力負担を減らしてくださり、自分の体調と相談しながら仕事を続けることができました。

また、店舗メンバーも、私が荷物を持とうとするだけで「その荷物運ぶよ」と、声をかけてくれました。職場の仲間には感謝しかありません。

――職場の人が自然に配慮してくれる環境は素直にうれしいですね。とはいえ、妊娠前と同様に仕事をすることは大変だったのではないでしょうか?

野澤:正直大変でしたね……店舗メンバーの配慮がありながらも、やはり責任者として「少しでも長く店舗にいて頑張らなきゃいけない」という気持ちがあり、無理をしてしまうこともありました。

ですが、産休・育休を取得し、いざ「ニトリに戻る!」というときに、産休前の働き方ではだめだと思ったんです。仕事に対する考え方をガラリと変える必要がありました。
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自分がいなくても円滑にまわるように

――ご出産後、復職されてからは時短制度を使用されていますが、どのように働き方を変えていったのでしょうか?

野澤:仕事の役割を明確にし、誰もがより責任をもって働けるよう教育に力を入れました。

まずは、私にしかできない業務を洗い出しました。逆に、これまで私がおこなっていた業務で、他の社員へ任せられることを洗い出し、それを教育しながら一緒におこなうことで、まわりの人の業務に徐々に移行していくことにしたのです。 従業員一人ひとりの業務範囲が広がることで、「自分でやった方が早い」という考え方から、良い意味で仲間に甘えられるようになりました。

ほかにも細かく時間管理をおこなうことを心がけていくことで、私だけでなく周囲の仕事の捉え方も変わり、結果的に店全体のボトムアップにつながっていったのです。

――野澤さん自身が働き方を変えることで、お店全体の業務効率も向上したのですね。

野澤:はい! それまでは私同様「自分でやった方が早い」とか、「自分が頑張ればいいや」といった考え方の人が多い印象でしたが、相互に教育をする良い循環ができあがりました。結果、職場における責任感、それも自分だけでなく各立場の人それぞれの責任感や、効率化に対する意識、取り組み方への変化が生まれたことが最大の収穫だと思っています。

昨今の働き方改革の流れもあり、残業時間の削減や効率の良い働き方についてニトリでも全社的に力を入れていますが、私は自分の妊娠をきっかけとして、一足早くその大切さに気付くことができました。

――働き方を変えるなかで、仕事と育児の両立の難しさを感じることはありましたか?

野澤:そうですね。実家から離れて暮らしていることもあり、身近に頼れる人が少なかったため、急に子どもを預けたりできず困ることがありました。しかし、夫婦で協力したり、私のシフトを調整したりとやり方を工夫しています。

ただ何より難しいと思うのは、自分ではバリバリ仕事をしたいと思っていても、子どもの体調次第で突発的に仕事を休まなくてはいけないことが多く、思うように仕事ができないことですね。自分では出産前と同じように働けるつもりでいても、どうしても物理的、時間的に制約ができてしまうので、それを前提とした働き方を模索し続けていかなければならないと思います。
働くママ社員に聞く! 妊娠から育休、復職後の「ニトリの働き方」のリアルとは?
――お子さんの体調も気にかけなくてはいけないですもんね……。

色々と働き方を変えながら業務をされていると思いますが、今後、ニトリに期待するものや、どんな会社になってほしいなどありますか?


野澤:現在は時短勤務だけでなく、在宅勤務制度も併用しながら働いていますが、時短勤務・在宅勤務というのは社内でもまだ少し特別感がある気がします。制度はあくまで「働き方を考える」きっかけとなるものです。これからもニトリの制度は拡充していくと思いますし、働き方もどんどん変わっていくはずですが、時短勤務であれ、地域限定社員であれ、その人にあった働き方ができ、最大限個々の力を発揮できるようになればいいですね。

――最後に、野澤さんの今後の目標を教えてください!

野澤:ニトリはまだ働き方改革の先進企業とはいえませんが、自身がロールモデルとなり、後輩がよりイキイキと働ける環境づくりに少しでも寄与していきたいですね。

【ニトリの制度 ※一部紹介】
・短時間勤務制度
妊娠期から子どもが小学校を卒業するまで、1日の所定労働時間を5時間以上の15分刻みで選択することができる制度。2020年2月現在で約170名が利用。

・在宅勤務制度
短時間勤務制度を利用する本部勤務者を対象に、自宅にて勤務した時間を労働時間として認める制度。
※本記事は『ニトリン』に掲載された記事の転載です。
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