人事部では例年、10月1日の内定式が今期の採用活動の締めにあたります。そして、同時に来期の採用活動に向けた準備が始まります。そのため、この時期は内定者のフォローを行いながら、同時にインターンシップなど来期の採用活動の仕込みを行うことになるのです。
そこで今回は、学生の就職に対する意識の変化と、それに伴い企業が今後どう採用活動を行っていくべきかを考えます。
学生は企業が思う以上にキャリアを考えている──企業の採用活動は今後どう変化していけばいいのか【2】

従来の採用活動を踏襲する大企業、しかし……

近年、少子化に伴う学生減少により、新卒採用の難易度が高くなってきました。一方で採用活動の主流はまだまだ変わっておらず、大手就職ナビへの掲載や、合同説明会への出展が中心です。SNSを活用したソーシャルマーケティングやターゲティングなど、マーケティング手法を活用した採用活動を行っている企業は多くなく、大手企業は従来の採用活動を踏襲しているのが現状です。

企業は近年の環境変化により、採用手法を変える必要を感じてはいます。しかし、採用ターゲットを絞りたいと思いつつも、幅広い人材にアプローチして少しでも取りこぼしをなくしたいと思っているのが本音です。そのため、新たな採用手法へシフトすることにためらいを感じています。

こうした従来型の採用手法の中で、特に採用説明会は、学生との接点を幅広く持つ場として活用されてきました。大型の合同説明会に赴くと、不思議な気持ちになります。「うちは他社よりうまくやっている」と思う反面、「他の企業もそんなに目立っていなくてよかった」という安堵を同時に感じます。なぜなら、従来から日本企業の人事は横並びの意識が強く、「他社がやっているならうちも」という考えが常にあるからです。これまでデータに基づいた人事業務を行ってこなかったため、経営陣に根拠を求められた際に「○○社もやっているから大丈夫です」と説明してきました。こうした横並び意識は、人事担当者が深く考えずに経営陣などを説得できてしまう悪い癖です。つまり日本企業の人事は、トレンドに流されやすいのが特徴です。

ところが、これからの時代はいよいよ横並びではうまくいかなくなってきました。学生の数自体が少なくなってきている今、少しでも自社の良さを打ち出していく必要があります。

マーケティング視点で学生のニーズを鑑みることが必要

  • 1
  • 2

この記事にリアクションをお願いします!