人事の皆様は1年でもっと忙しいシーズンを迎えていらっしゃるのではないでしょうか?
金沢大学では3月5日より学内合説が始まりました。
 今年は会場の関係で3月5~7日と14~15日の2回に分けて合計370社の企業にご参加いただきました。学生の状況はというと、学内合説が「初めての企業説明会参加となった学生」が半分くらいといったところでしょうか。ご参加いただいた企業の中には、説明会の3日後にエントリーシート(以下ES)の締め切りを設定している企業もいくつかあったようで、ESをどう仕上げるのか、頭を悩ませている学生が出てきています。今年は完全に二極化しているようで、2月までのインターンシップに参加しており、しっかり準備ができている学生と、そうでない学生がはっきり分かれてしまっている印象があります。

 さて、最近では仕事の内容についてほとんど理解できていない学生が思ったより多いように感じます。びっくりしたのはお金についてのイメージが弱く興味を持てていない学生の多さです。民間企業で働くうえでお金の流れを把握する、ということは仕事と切っても切れないものだと思うのですが、どうもそのあたりのイメージができていないようです。

 同様に、文系学生がメーカー就職希望でいくつかの会社を回ってみたが、仕事のイメージがわかない、というケースも多くなっているように感じます。本学のような地方の国立総合大学は文系の理系の人数比率がほぼ半々となっていますが、メーカーの採用担当はまず理系をターゲットとして動きます。したがって学内合説の際のプレゼンの大半が理系向けの技術や開発の話が中心になっており、文系の学生は話を聞いても理解できず、文系は必要とされていないのではと感じた、という話もよく聞きます(この辺りはもう少し企業側にも配慮をお願いしたい部分でもありますが)。

 しかし文系学生は、どの業界であるかに関わらず、企業活動を行っていく上で必要な仕事、たとえば経理や人事、あるいは購買、情報システムなどに対するイメージも、具体的にもてていないようです。我々自身の学生時代を振り返ってみても、初めから業界・企業・業務の内容をよく理解できていたかというと、決してそんなことはなく、同じような状況だったように思います。それでも、就活を進めていく中で知識が少しずつ頭に入ってきたように思いますが、個人差があるとはいえ、今の学生はなかなかその知識が入っていかない印象があります。

 なぜそうなるのか?と考える中、私たちの時代にはあったものが今の就活生にはなくなってしまっていることに気付きました。
 そう、就職情報誌です。私たちのころは就活生向けに大量に就職情報誌が送られてきたのですが、実はこの手の本は求人広告だけでなく、仕事や業界、職種についての説明の記事が出ていました。求人広告ばかり見ていても嫌になるので暇な時にそうした記事を読んでいた記憶もありますし、送られてくる本自体も「業界研究読本」のように網羅性の高い仕立てになっていたように記憶しています。今振り返ってみると、そういう企画にして学生に読ませるよう仕向けていたのだなあ、と思うのですが、いずれにしてもそうした本を読むことで一般的な知識がインプットされていった気がします。

 ネット広告全盛の今、就活生向けの求人広告にアクセスするのみではこの手の情報が入りにくくなっているのではないでしょうか。それがこうしたビジネスの基本的な流れを学生が理解しにくくなっている状況を作り出している、と考えます。

 毎年本学に『モノづくり図鑑』という雑誌を大量に送っていただいているのですが、最近この本が文系版と理系版に分かれました。希望する学生に配っているのですが、文系版の方がなくなるのが早いようです。学生がアクセスしやすいビジネス知識習得の機会として、就職情報誌を復活させると良いのかもしれません。
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