第53回 経団連による選考解禁後【16新卒採用動向】
   「グループ面接」の特徴として、一度に多くの学生の選考ができることが挙げられます。面接対象者の多い大企業では、1次面接で実施することで、2次面接対象者を大きく絞り込むことができます。面接対象者がそんなに多くない中小企業では、「グループ面接」を採り入れるまでもなく、1次面接から「個人面接」での選考が可能なことが多いようです。
 他の規模と比べて大企業での導入率が高いのが、「グループ面接」と並んで「グループディスカッション」です。中小企業10%、中堅企業15%に対して、大企業では28%と、中小企業の3倍、中堅企業の2倍の企業で導入されています。「グループ面接」と同様に一度に多くの学生を選考できるだけでなく、個人面接では見ることができない「他者とのかかわり方」を見ることができます。ただ、評価者が気を付けなくてはいけないのは、「リーダーシップ」や「発言回数」だけをみるのではなく、「主体性」「協調性」「態度・表情」「聞き方」「論理性」「説得力」「独創性」「展開力」「まとめ方」など、多面的に採点・評価することが重要です。

「グループディスカッション」はテーマがカギ

   そして、もう一つ大事なことが「テーマ設定」です。学生の「知識量」の多寡により、有利不利が生じるようなテーマは避けるべきです。その題材についての知識がない、あるいは少ない学生は萎縮してしまい、自分本来のカラーを出すことができなくなります。また、正解があるテーマではなく、自由に発想できるものがよいでしょう。

 テーマの与え方には大きく分けて次の三つのタイプがあります。
(1)結論を導き出すタイプ
〈例〉・駅前商店街を再生するには
   ・ラムネの売り上げを2倍に伸ばすには
(2)自由討議タイプ
〈例〉・理想の上司とは
   ・「よい会社」とは
(3)Yes/Noタイプ
〈例〉・日本にとっていいのは「円高」か、「円安」か
   ・オリンピックを誘致することの是非

「取り組む態度」はどのタイプであっても共通した評価ポイントになりますが、テーマの与え方によって微妙に変わる評価ポイントもあります。例えば、「結論を導き出すタイプ」では「独創性」や「論理性」、「自由討議タイプ」では「人間性」や「まとめ方」、「Yes/Noタイプ」では「論理性」のポイントが高くなります。どんな人材を採りたいと思うのかによって、テーマを考える必要があります。
「グループディスカッション」をまだ導入していない企業は、ぜひ次年度の新卒採用での導入を検討されてみてはいかがでしょうか。他の面接形態では測ることができなかった観点から学生をみることができるようになります。

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