ProFuture代表の寺澤です。
8月1日、経団連の指針による「選考解禁日」を迎え、土曜日にもかかわらず、多くの大手企業では一斉に面接選考が開始されました。1日で複数回の面接が行われた企業もあったようです。翌日の2日も日曜返上で面接が繰り広げられ、この週末で早くも内定を手にした学生が少なくなかったようです。
8月1日、経団連の指針による「選考解禁日」を迎え、土曜日にもかかわらず、多くの大手企業では一斉に面接選考が開始されました。1日で複数回の面接が行われた企業もあったようです。翌日の2日も日曜返上で面接が繰り広げられ、この週末で早くも内定を手にした学生が少なくなかったようです。
文系は面接回数「3回」の企業が半数
その結果、3日の月曜日から面接を開始した企業や、1日から面接を開始したものの選考スピードで後れを取った企業の中には、「内定辞退」ならぬ「選考辞退」の学生が続出しています。選考途中にもかかわらず、志望度の高い企業から内定をもらったために、次の選考を辞退してしまうというものです。中には今年話題の「オワハラ」まがいの行為も横行していたのではないかと思われます。ただし、7月までの「オワハラ」が、中堅・中小企業が8月から始まる大手企業の受験機会を阻害しようとするものであったのに対して、8月に入ってからの「オワハラ」は、学生にとって志望度の高い大手企業からのものであり、仮にまだ受験を予定していた企業があったとしても、企業の要請を受け入れてしまった例が多いのではないでしょうか。「ハラスメント」は、あくまでも受けた側がどう感じるかであり、学生が企業からの「就活の終了要請」を納得して受け入れるのであれば、それは「オワハラ」にはならないことになります。「この企業ならいいか」「この企業であれば御の字」と学生が感じられるかどうかです。就職人気企業は、ここでも有利になるということです。
さて、今回はHR総研の調査の中から、「面接選考」について見てみたいと思います。
面接選考ステップは、企業ごとにモデルパターンは決まっているものの、他社と迷っている学生には動機づけのためのフォロー面接を挟んだり、内定出し前の意思確認面接を挟んだりと、学生によって面接回数は異なることがあります。また、理系の推薦応募の学生については、自由応募の学生よりも面接回数が少ないことが通例です。ここでは、自由応募の学生を前提に聞いています。
内々定までの平均面接回数について、まずは文系を見てみましょう[図表1]。全体では、ちょうど半数の50%の企業が「3回」と回答しています。次いで「2回」が36%、「4回」が8%と続きます。「5回以上」の企業が3%ある一方、面接「1回」だけで合否が決まる企業も3%あります。もちろん、適性検査や能力検査も実施した上で、両方を加味しての合否判定なのでしょうが、「1回」はいくらなんでも少ないといえます。
「面接」は、自社に合う人材かどうかのジャッジの場であるとともに、自社への動機形成の場であり、ミスマッチ低減に向けて企業と学生の双方が確認し合う場でもあります。その意味では、面接回数が「1回」では、いずれもが中途半端であり、学生からしてみれば合格の達成感を味わうこともなく、内定を手にすることになります。就活に対して淡泊なタイプの学生であれば別ですが、仮に志望度の高い企業であっても内定受諾率は低くなると思われます。学生からしてみれば、「自分のどこを評価されたのか」「誰でもいいのではないのか」と不安になるに違いないからです。
面接回数は大手企業ほど多い傾向
従業員規模別に見てみると、面接回数が「3回以上」の企業の割合は、中小企業(300名以下)で57%、中堅企業(301~1000名)と大企業(1001名以上)では65%と規模が大きいほど面接回数は多くなっています。中堅企業と大企業の割合は同じですが、さらに「4回以上」で比べてみると、中堅企業が11%なのに対して、大企業は17%となっています。もう一つ、メーカーと非メーカーでも比べてみましょう[図表2]。面接回数「3回以上」の企業がメーカーでは54%なのに対して、非メーカーでは68%と14ポイントも開きがあります。「4回以上」の割合も、メーカーの8%に対して、非メーカーは15%と2倍近くになっています。
この後見ていきますが、理系のほうが文系よりも面接回数が少ない傾向があります。文系よりも理系の採用数のほうが多いメーカーでは、文系も理系同様の選考ステップで採用している企業が多いものと推測されます。