内定先の企業規模では大学間格差が歴然

かつて40ポイントもあった内定率での大学間格差は10ポイントほどに縮まったものの、内定を保有している企業の従業員規模で比較してみると、そこには依然として大学間格差があることがよく分かります[図表12]
第93回 面接早期化、学生の複数内定…年々進む、新卒採用難化
例えば、旧帝大クラスの学生で「5001名以上」の大企業からの内定を保有している学生は62%にも達するのに対して、その他私立大の学生は20%にとどまります。逆に、「101~300名」の中小企業からの内定を保有している学生は、その他私立大では38%あるのに対して、旧帝大クラスではわずか6%にとどまります。内定率自体の格差は減少しているものの、どういった企業群から内定を得ているのかまで突き詰めると、内情はまったく異なるのです。

減少に転じた6月の内定取得

内定を取得した時期をすべて選んでもらったところ、経年での比較で明らかな前倒し傾向が見てとれます[図表13]。「前年12月以前」から「今年5月後半」までは年々内定を取得した学生が増加し、例えば「5月前半」は2017年卒:17%→2019年卒:27%と10ポイントも増加しています。「6月前半」は今年もピークであることに変わりはないものの、2017年卒:61%→2018年卒:65%と増加したのち、2019年卒:57%へと減少に転じています。「6月後半」に至っては、2017年卒:23%→2018年卒:10%→2019年卒:7%と昨年からすでに減少し始めています。
第93回 面接早期化、学生の複数内定…年々進む、新卒採用難化
複数内定を保有している学生に、第一志望企業以外への内定辞退連絡が完了しているかを確認したところ、6月後半時点ではまだ内定辞退を連絡し終わっていない学生が少なからずいること、また、大学グループによる差が大きいことが分かりました[図表14]。内定辞退の連絡が最も進んでいるのは「早慶クラス」で、「すべての企業に内定辞退を伝えた」学生が73%と7割を超え、「まだ(1社にも)伝えていない」学生は16%にとどまります。一方、「その他私立大」では、「すべての企業に内定辞退を伝えた」学生は47%と半数に届かず、「まだ伝えていない」学生が31%にも及びます。
この違いは何でしょうか。一概に学生の質で片づけるわけにもいかないと思います。考えられる理由の一つに、内定先企業の違いがあるのではないかと推測します。「早慶クラス」や「旧帝大クラス」といった上位校は、志望していた大企業に内定している割合が多いのに対して、そうでない大学グループでは当初の志望企業の選考に漏れて、方向転換した学生の割合が多く、内定に対する満足感や納得感に差があるのではないでしょうか。あるいは、内定辞退連絡を怠っているのではなく、内定した企業の中での順位付けすらできておらず、彼ら自身の中で内定受諾の企業と内定辞退する企業との切り分けが、この時点でまだできていなかったのではないかとも推測されます。

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