大企業でも4割の企業で内定辞退が増える
4月末の調査でも内定辞退数の前年比を聞いていますが、今回改めて聞いてみました[図表7]。グラフを見てお分かりのように、内定辞退は中堅・中小企業だけで「増えている」わけではなく、それどころか大企業での内定辞退のほうが「増えている」傾向にあります。逆に、内定辞退が「減っている」とする企業は、大企業が13%なのに対して、中堅企業17%、中小企業19%と、企業規模が小さくなるほど多くなっています。これはどう見ればよいのでしょうか。
よくいわれるのが、「中堅・中小企業は早くに選考・内定出しをしても、後から大企業の内定出しがされれば内定辞退されるだけだ」という論調です。もちろんそういった例もあるでしょう。ただし、全体の中でいえば、それよりも大企業同士でのバッティングのほうがよほど多いということです。大企業が内定出しをする学生層では、内定社数は2社どころか、5社とか6社もざらです。
今年7月の本欄では、4月下旬時点での大学グループ別の内定社数のデータを掲載していますが、例えば「早慶クラス」の文系学生ではこの時点ですでに半数の学生が内定を2社以上保有していました。未内定の学生も含めての割合ですから、内定保有者における複数内定保有の割合でいえば6割を優に超えます。同じくその時点ですでに内定「4~6社」と回答していた学生の割合は、2割近くになります。これらの学生の多くは、その後もさらに内定を獲得したことでしょう。6社の内定を持つ1人の学生の裏では、5社の企業で内定辞退が発生するわけです。内定辞退が増えるのは当然です。
今年7月の本欄では、4月下旬時点での大学グループ別の内定社数のデータを掲載していますが、例えば「早慶クラス」の文系学生ではこの時点ですでに半数の学生が内定を2社以上保有していました。未内定の学生も含めての割合ですから、内定保有者における複数内定保有の割合でいえば6割を優に超えます。同じくその時点ですでに内定「4~6社」と回答していた学生の割合は、2割近くになります。これらの学生の多くは、その後もさらに内定を獲得したことでしょう。6社の内定を持つ1人の学生の裏では、5社の企業で内定辞退が発生するわけです。内定辞退が増えるのは当然です。
内定辞退率5割以上の大企業も
今回の調査では、内定辞退数の前年比だけでなく、内定者全体における内定辞退率(内定辞退者数÷全内定者数)についても聞いています[図表8]。中小企業は採用数が少ないため、1人の重みが大きくなります。例えば、内定者が2人に対して1人も辞退しなければ「0%」となりますが、1人辞退すればそれだけで「50%以上」に区分されてしまいます。したがってグラフ上では両端のデータ(「0%」と「50%以上」)が他の企業規模よりも大きくなりがちです。
ここでは大企業の内定辞退率を見てみたいと思います。内定辞退者が「0%」という企業も7%ありますが、注目すべきは「10%未満」の企業の多さでしょう。「0%」の企業を合わせれば、36%にもなります。大企業の3分の1以上は、極めて辞退率の低い採用活動ができていることになります。中には内定出しのタイミングが遅めであった企業や、推薦制での理系採用が多い企業なども含まれると思われますが、新卒採用における「勝ち組」企業といえるでしょう。
一方、同じ大企業でも内定辞退率が「40%以上」の企業が2割以上あります。中には「50%以上」という企業も4%あります。ここまで辞退率が高くなると採用戦略を見直す必要があるでしょう。広報活動や選考段階で学生とうまくコミュニケーションが取れていないか、学生の入社志望度が低いのに一方的に内定を出しているだけともいえます。
通常、例年の内定辞退率を参考に、採用計画を達成するために必要な内定者数を割り出していることと思いますが、ここの読み違いがあると最終的な内定者数(入社者数)は大きくぶれることになります。辞退が少なければとてつもない人数の入社者を迎え入れることになりますし、その逆もあります。辞退率の高さは、内定者にとってもあまりいいことではありません。内定者懇親会で顔を合わせた内定者の多くが、次回の懇親会には参加していないとなると、残ったほうとしては当然不安にもなります。内定辞退率は20%未満に抑えられることが理想でしょう。
次回は、2016年卒採用に向けての動きをご報告します。
一方、同じ大企業でも内定辞退率が「40%以上」の企業が2割以上あります。中には「50%以上」という企業も4%あります。ここまで辞退率が高くなると採用戦略を見直す必要があるでしょう。広報活動や選考段階で学生とうまくコミュニケーションが取れていないか、学生の入社志望度が低いのに一方的に内定を出しているだけともいえます。
通常、例年の内定辞退率を参考に、採用計画を達成するために必要な内定者数を割り出していることと思いますが、ここの読み違いがあると最終的な内定者数(入社者数)は大きくぶれることになります。辞退が少なければとてつもない人数の入社者を迎え入れることになりますし、その逆もあります。辞退率の高さは、内定者にとってもあまりいいことではありません。内定者懇親会で顔を合わせた内定者の多くが、次回の懇親会には参加していないとなると、残ったほうとしては当然不安にもなります。内定辞退率は20%未満に抑えられることが理想でしょう。
次回は、2016年卒採用に向けての動きをご報告します。