一部の学生に内定が集中し、内定辞退者が増加

これまでの内定辞退者の数を昨年同時期と比較してもらったデータが[図表6]です。2013年卒採用から2014年卒採用にかけては、「昨年よりも少ない」(「かなり」+「やや」の合計)とする企業が22%から33%へと大きく増えたのに対して、今年は一転しています。「昨年よりも少ない」とする企業が33%から23%と10ポイントも減少したのに対して、逆に「昨年よりも多い」とする企業が2014年卒採用の14%から29%へと倍増しているのです。
第40回 2015年新卒採用の現状~「内定」について~
昨年よりも速いペースでの内定出しが行われたため、昨年であればもう少し後に内定辞退していた層が今年はすでに辞退しているということも考えられますが、選考スケジュールの短期化が一部の学生への内定の集中を招いたことが予想されます。後述する学生データも参照してください。

未内定者が昨年よりも減少

ここからは学生の状況を見てみます。学生調査は、楽天「みんなの就職活動日記」の協力の下に実施しています。ここでは、就職意識の高い学生が回答者の多くを占めているため、一般的な調査よりも内定取得率が高めに出ていることをお断りしておきます。ただし、経年比較や大学クラス別比較では影響はありません。
 [図表7]は、文系学生の4月末時点での内定保有社数を尋ねたデータです。2014年卒文系と2015年卒文系のグラフを比較してみると、減少しているのは「0社」と「1社」で、増えているのは「2社」「3社」「4~6社」「7~9社」です。つまり、未内定学生と1社だけの内定保有者が減少し、複数の会社から内定を取得している学生の割合が増えているのです。未内定者は47%から43%へ、1社だけの内定保有者は30%から28%へそれぞれ減少し、2社以上の内定保有者は、2014年卒では23%だったものが2015年卒では30%となっています。内定保有者の半数以上は複数内定を持っていることになります。
※内定保有者に占める複数内定保有者率 2013年卒 44.1%→2014年卒43.4%→2015年卒52.6%
第40回 2015年新卒採用の現状~「内定」について~

大学クラスにより内定状況は大きく異なる

文系学生について内定者保有社数を大学層別に見ると、内定取得者(「0社」以外)の割合が大学層により明らかに異なるのが分かります[図表8]。内定取得者の割合(以降、内定率)を見ると、「旧帝大クラス」75%、「早慶クラス」79%と極めて高いのに対して、「中堅私大クラス」51%、「その他私大」39%とかなりの開きがあります。
 また、内定社数にも注目してください。「早慶クラス」では実に49%が複数社の内定を保有しています。「旧帝大クラス」「上位国公立大クラス」「上位私大クラス」も37~39%と極めて高い割合になっています。内定者における複数内定保有率で見ると、「早慶クラス」はなんと62.4%にもなります。内定を持っている学生の3人に2人近くは複数企業の内定を持っているということになります。同様に、「上位私大クラス」62%、「上位国公立大クラス」59.5%と極めて高い割合になっています。
第40回 2015年新卒採用の現状~「内定」について~
内定保有者に、内定した企業の従業員規模を尋ねたデータが[図表9]です。「1001~5000名」「5001名以上」の大企業の割合で比べてみましょう。「旧帝クラス」は76%、つまり4人に3人は大企業から内定を取得しているのに対して、「その他私立大学」では32%にとどまります。大学クラスにより、内定保有社数だけでなく、どんな企業から内定を取得しているのかが全く異なることが分かります。
第40回 2015年新卒採用の現状~「内定」について~

理系でも複数内定保有者が昨年よりも増える

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