ソフト重視の文系、デジタル重視の理系

複数社から内定をもらったとしても就職できるのは1社だけですから、最終的にはその1社を選ぶ必要があります。そこで、今度は就職活動を終了した学生を対象に、「入社を決めた理由」を複数選択で聞いてみました[図表8]。文系と理系で共通する部分もあれば、違いも見つかりました。
第127回 コロナ禍での2022卒学生の就職活動を振り返る――内定のステップにおけるトピックスとは
まず、文系・理系ともに最も多かったのは「仕事内容」で、文系72%、理系76%といずれも唯一7割を超えています。文系は次に「会社の雰囲気」が63%で続きますが、理系では50%で6位です。文系の3位は「事業内容」で60%、理系も63%で2位となっていす。文系では、次いで「福利厚生」(59%)、「給与」(53%)、「勤務地」(52%)と続きますが、これらの項目は理系でもそれぞれ56%、60%、52%と高いポイントを挙げています。

文理で違いが見られたのはこの後です。「人事の対応・人柄」は文系49%に対して理系は30%と20ポイント近い差が表れています。続く「会社の特徴・特色」でも文系43%、理系34%、「社員の対応・人柄」は文系41%、理系31%と、それぞれ10ポイント前後の差がついています。文系で2位だった「会社の雰囲気」と合わせて、「雰囲気」「人柄」といった個人によってとらえ方も異なるソフトの側面を文系は重視しがちなのに対して、理系は「仕事内容」「事業内容」「給与」といった、ある意味デジタルな側面を重視している傾向があるといえます。

就職ナビの利用率が低い理系

次に、「入社予定企業を就職先候補企業として認知し始めた時期」について、文系と理系を比べてみましょう[図表9]。文系では、認知し始めた時期として最も多いのは「2021年1~2月」と「2021年3~4月」でともに23%となり、これらを合計すると「2021年1~4月」で46%と半数近くに上ります。「2020年3月以前」は13%にとどまります。
第127回 コロナ禍での2022卒学生の就職活動を振り返る――内定のステップにおけるトピックスとは
一方、理系では、「2020年3月以前」が「2021年3~4月」とともに20%で最も多く、「2020年3月以前」から「2020年10~12月」までを合計した、2020年内までに認知し始めた割合は62%と6割以上を占めています。文系で最も多かった「2021年1~2月」は15%にとどまり、文系とは大きな差がついています。理系のほうが就職先候補企業として認知し始めた時期が早いことがうかがえますが、これは理系の選考時期が早かったことだけでなく、理系のほうが早くからあこがれていた第一志望群の大手企業から内定を取得した割合が高かったからではないかと推測されます。

「入社予定企業との就職活動における最初の接点」についても見てみましょう[図表10]。文系では「就職ナビからのプレエントリー」が最も多く27%、次いで「インターンシップ」が23%、「企業のHPからのプレエントリー」が10%などとなっています。
第127回 コロナ禍での2022卒学生の就職活動を振り返る――内定のステップにおけるトピックスとは
理系では「インターンシップ」が最多で22%、次いで「就職ナビからのプレエントリー」が17%、「企業のHPからのプレエントリー」が13%となっており、理系学生は、就職ナビと企業HPからのプレエントリーにあまり差がありません。文系学生よりも、就職ナビでプレエントリー先を探すのではなく、目当ての企業にダイレクトにアプローチする学生が多い傾向があるようです。また、理系ならではの「教授推薦」を挙げた学生はわずか2%にとどまり、結果的に教授推薦で就職先を決めた学生においても、教授から「この企業はどうだ」と薦められて初めて就職先として意識するのではなく、教授推薦を受ける企業について、事前に自らも何らかのアクションをとっていることがうかがえます。

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