10月1日、多くの企業で2022年春入社予定の内定式が開催されました。9月30日での緊急事態宣言の解除の決定時期が9月28日と遅かったこともあり、内定者が多い企業では今年もオンラインで内定式を開催した企業が多かったようです。今年の内定式の報道を見ていて感心したのは、オンライン開催という制約条件の下で、人事からの一方的な発信だけにならないよう、双方向性を持たせて、いかに内定式を盛り上げるか、いかに内定者同士のコミュニケーションを促進させるかを各社が工夫されていたことです。また、内定式の本来の目的である内定証書と内定承諾書(入社誓約書)の授受においても、いまや内定証書は式の最中にPDFで送付され、内定承諾書のサインまでもがオンライン化されていることにも驚きました。
ちなみに、10月2日には「内定式プラン」は「販売終了」になっており、「内定者懇親会プラン」だけが販売中になっていました。10月1日以降に内定式を開催する企業もあるでしょうが、「内定者懇親会プラン」で妥協してください。
文系は2020年卒採用のペースに近いが、理系は
さて、今回も前回に引き続き、6月にHR総研が2022年卒の「楽天みん就」会員を対象に実施した「2022年卒学生の就職活動動向調査」の結果から、コロナ禍での就職活動を振り返るとともに、さまざまな角度から学生の本音の声をお届けしていこうと思います。第2回目の今回は、内定式にちなんで「内定」を切り口にしたデータを中心に紹介します。なお、今回の調査対象である「楽天みん就」の会員属性は、一般的な就職ナビの会員属性と比較して、高学歴大学グループの割合が高いことや、就職活動の開始時期が早いなど就職意識の高い層の学生割合が高いことから、内定率等の数値は各就職ナビ発表の月次内定率調査の数値よりも毎回高めに出る傾向があります。あくまでも経年比較や文理比較の参考データとしてお読みいただければ幸いです。
まずは、6月中旬時点での内定社数(内定率)を見ていきましょう。今年の内定取得ペースが例年と比べてどうだったのかを比較するため、2020~2022年卒の同時期調査の結果を比較してみましょう。[図表1]が文系、[図表2]が理系です。
その後、結果的に内定率自体は徐々に追い上げていくものの、調査を実施した6月中旬時点では2020年卒採用との差は大きかったといえます。2022年卒はどうかというと、「0社」の割合は2020年卒より5ポイント高く、逆に「2社」は2020年卒より5ポイント低いなどの若干の違いはあるものの、ほぼ同様の傾向を示しており、2021年卒よりも早いペースで進行していることがうかがえます。
一方、理系では、「0社」や「1社」は2021年卒が高いものの、2022年卒も2021年卒とそれほどの差はありません。「4~6社」では、2021年卒より2022年卒のほうが3ポイント高くなっていますが、それ以外の区分での差は1~2ポイントに過ぎません。2022年卒のデータを2020年卒のデータを比較してみると、「0社」は5ポイント、「1社」は7ポイントもそれぞれ高くなっているのに対して、「2社」になると一転して6ポイントも低くなるなど、明らかに2020年卒よりは内定社数は少なく、どちらかというと2021年卒のデータに近くなっています。激しい争奪戦だといわれる理系において、2021年卒との差異で文系ほどの開きが見られなかったことは意外な結果といえます。ただ、1社目で意中の企業から内定を取得でき、そこで就職活動をやめてしまった学生が多かった可能性も考えられます。
次に、内定社数を大学グループ別に見てみましょう。文系では、大学グループ別の差異がはっきりと見て取れます[図表3]。
一方の理系では、「0社」の割合は、「その他私立大学」の17%に対して、「上位私立大」12%、「旧帝大クラス」でも10%となるなど、文系ほどの大学グループ間格差は見られません[図表4]。