推薦確保に向けて理系研究室訪問を強化

キャリアセンターと並んで大学対策の窓口となるのが「理系研究室」です。かつてメーカーへの就職が主流だった時代には、理系の就職方法といえば、大学推薦・教授推薦などの「推薦応募」によるものが一般的でした。その後、大学研究室とのパイプが希薄なソフトウェア産業をはじめとする非メーカーの理系採用が拡大される中、徐々に文系同様の「自由応募」が増え始め、メーカーにおいても推薦応募と自由応募を並行して取り扱うようになり、近年では自由応募の方が多い企業も少なくありません。ただ、2016年卒採用では少し状況が異なるようです。
 まずは理系研究室訪問の実施状況を見てみましょう[図表4]。メーカーでは半数以上(51%)の企業が「実施した(する予定)」と回答しています。うち、今年から新たに実施する企業が11%にも上っています。理系採用に苦戦する中で、推薦による応募者確保に向けた動きが強まっていると言えます。それともう一つ、面接選考開始が8月1日になったことに鑑み、大手企業の中には、理系の選考期間の短縮化を狙う動きがあります。理系学生の卒業研究のことを考えると、夏場に理系学生を選考のために長期間(複数回)拘束することは極力避けたいところ。そこで、理系学生の選考に要する日数(面接回数)を減少すべく、推薦応募の学生割合を増やしたいというものです。推薦応募の場合には、選考が1日で終わることも珍しくありません。一般的に、推薦応募の場合には掛け持ち受験は禁止されていますので、入社意思の確認に時間を割く必要がないためです。
第47回 「2016年新卒採用動向調査」からわかる各企業の動き【2】
メーカーだけを抽出して、理系学生の応募経路についての結果を見てみましょう[図表5]。「昨年と変わらない」とする企業が企業規模に関係なく最も多くなっていますが、「1001名以上」では「推薦比率を高めたい」とする企業が3割近くあります。前述の選考期間の短縮化を裏付けるデータとなっています。
第47回 「2016年新卒採用動向調査」からわかる各企業の動き【2】

理系研究室訪問は半数の企業が12月までに実施

理系研究室訪問は、半数の企業が12月までにスタートしています[図表6]。年内における実施に注目して見ると、2015年卒では12月の採用活動解禁を意識してか、「12月に開始」とした企業が20%と多くありましたが、2016年卒では開始時期が各月に分散していることが分かります。「12月」が2015年卒では20%ありましたが、2016年卒では12%にとどまるのに対して、「10月」は2015年卒の9%から13%へと伸びています。残りの月については、2015年卒と2016年卒では大きな差異は見られません。
第47回 「2016年新卒採用動向調査」からわかる各企業の動き【2】

今年も「マイナビ」が掲載社数トップ

最後に、2016年卒採用で利用する予定の就職ナビを聞いたところ、「マイナビ」が52%、「リクナビ」が47%と、前年に続き「マイナビ」が掲載社数でトップとなる見込みです[図表7]。掲載社数において「マイナビ」が「リクナビ」を超えたのは前年の2015年卒向けサイトが初めてです。
第47回 「2016年新卒採用動向調査」からわかる各企業の動き【2】
なお、2015年卒向けサイトにおいて掲載社数でトップの座を「マイナビ」に譲りながらも、「リクナビ」は1000名以上の大手企業の掲載数では依然トップを維持してきました。2015年卒向けサイトを見ると、1000名以上の大手企業の掲載数は2月8日現在で、「リクナビ」が2459社に対して、「マイナビ」は2171社。ところが今回の調査では、大手企業においても「マイナビ」(75%)が「リクナビ」(66%)に大きく水をあけています。2016年卒向け就職ナビは、採用広報解禁日の3月1日に正式オープンしますが、大手企業の掲載社数においても「マイナビ」が「リクナビ」を逆転する可能性が出てきました。3月1日に注目してみたいと思います。
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