大学との関係強化がより重要に
2016年新卒採用でより重要になると思われる施策を聞いたところ、トップは「自社セミナー・説明会」で42%、次いで「学内企業セミナー」40%、「キャリアセンターとの関係強化」が38%と僅差で続く結果になりました[図表2]。4位には「インターンシップ」と「就職ナビ」が24%で並ぶものの、トップの三つの施策との間には14~18ポイントと大きな開きがあります。「学内企業セミナー」もキャリアセンターとの関係性が求められ、よりキャリアセンターとの連携を重視していることになります。
大企業(1001名以上)に限定してみると、「学内企業セミナー」と「キャリアセンターとの関係強化」がともに43%でトップに並びます[図表3]。「自社セミナー・説明会」(35%)をはさみ、「インターンシップ」が29%、「リクルーター(OB/OG)の活用」が25%で続きます。「リクルーター(OB/OG)の活用」は企業規模による差が大きく、中小企業(300名以下)では9%にとどまります。
全体では4位の「就職ナビ」は、大企業では17%で7位にとどまります。「就職ナビ」への依存度は、企業規模によりかなり差があると言えます。
全体では4位の「就職ナビ」は、大企業では17%で7位にとどまります。「就職ナビ」への依存度は、企業規模によりかなり差があると言えます。
インターンシップによる囲い込みが必至
新スケジュールに関連してどんなことが起こるかを予想してもらったところ、以下のようなコメントが寄せられました。・インターンシップという名の早期会社説明会の増加(情報処理・ソフトウェア)
・インターンシップが本来の目的と乖離して採用の囲い込み活動になってしまう(食品)
・インターンシップに呼び込むための業者の合同企業説明会が増える(教育)
・コネクションや水面下による青田買いなどが進み、中小企業にはより厳しい環境となる(電子)
・リクルーターを使っての一本釣りの拡大(繊維)
・就職活動に対する意欲に個人差がかなり大きく出そう(百貨店・ストア・専門店)
・大手が遅れることで、中堅・中小企業で内定辞退が出てしまう(印刷)
・OBなどを介した学校への水面下での活動(輸送機器・自動車)
・いつまで採用活動を行うのか、学生・企業双方が止め時で混乱する(情報処理・ソフトウェア)
・このまま景気が上向けば、実態としては遅くならないことが想定される(教育)
・スケジュールを遵守しない企業が続出する(その他メーカー)
・学生1人が受験する企業数が減少する。そのため短期決戦となる(精密機器)
・採用活動がより過密になり、選考期間が短くなり学生の獲得競争が激しくなると考える。また、就職活動期間が短くなるため、未内定学生が増える可能性がある(建築・土木・設計)
・時間がないため、面接など人物を見るための時間が割くことが難しく、有名校への偏りが進行しそう(ビジネスコンサルタント・シンクタンク)
・青田買いの加速。これまで以上の二極化と内定未取得者の増加(電子)
・内定辞退による採用活動の長期化(その他メーカー)
学生が学業に専念できるようにするためのスケジュールの繰り下げが、かえってインターンシップによる青田買いを誘発することが必至であるとみている企業が多いようです。リクルーターの活用やターゲット大学の設定がさらに進むと考える担当者も少なくありません。また、大企業の選考時期が遅れることにより、学生が中堅・中小企業に目を向ける期間が短くなり、採用できない企業と未内定学生が増加するだろうと予測しています。
次回は、インターンシップや選考時期について取り上げる予定です。
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