代替案の発想に役立つ 「オズボーンのチェックリスト」

  「窓の位置は変えたが,涼しい環境で空を眺めるという目的はかなえられた」「壁紙の色は変えたが,庭の芝生との組み合わせで自然な色合いは保たれた」─相手の意に沿った案として快諾を得たのである。ここで取り上げた事例は単純なレベルだが,教訓は少なくない。
 こうした代替案を考えるとき,「オズボーンのチェックリスト」を知っておくと有益である。
 ご存じの方も多いだろうが,オズボーンとは創造性開発の技法「ブレイン・ストーミング」の創案者として名高いアメリカの広告会社役員アレックス・オズボーンのことだ。チェックリストもブレイン・ストーミングも開発されたのは1930年代のことだが,ともに
思考法のツールとして今も頻繁に使用されている。
①ほかに使い道はないか(転用)
②ほかからアイデアを借りられないか(応用)
③変えてみたらどうか(変更)
④大きくしてみたらどうか(拡大)
⑤小さくしてみたらどうか(縮小)
⑥ほかのもので代用できないか(代用)
⑦入れ替えてみたらどうか(置換)
⑧逆にしてみたらどうか(逆転)
⑨組み合わせてみたらどうか(結合)
 ちなみに先の例では,窓の件は③,壁紙については庭との兼ね合いに言及しているので⑨に即したことになる。
 まずは相手の言い分をよく聞いてみること。相手の立場になって考えてみれば,新しい提案をするヒントはいくらでも思いつくだろう。交渉ごとの基本はそんなところにある。
 営業部門においては提案型営業として,もうずいぶん前からこうした方式が推奨されている。他の部署でもきちんと学べば,コミュニケーション力を向上させる有力なメソッドになるはずである。
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