テーマ別研修についてのHR総研のアンケート調査結果のうち、
今回は「ハラスメント研修」についてお伝えする。

パワハラ、セクハラなどを未然に防ぐための「ハラスメント研修」。
実施している企業は、全体では36%という結果で、規模別に見ると、1001名以上が44%、301~1000名規模では51%だったが、300名以下の中小規模ではたったの20%という実施率だった。

研修を内製しているか、外部に委託しているかを聞いたところ、
「外部の研修会社を利用」が18%に対して「自社(グループ会社)で
実施(内製)」が66%と多数派である。

ではハラスメント研修の受講対象者は誰だろうか。
気になる結果は、以下にてご覧ください。

ハラスメント研修の実施率は4割以下にとどまる

ハラスメントと言ってもさまざまな種類があるが、職場ではセクハラとパワハラが代表的なハラスメントだ。気軽に声をかけたつもりでも相手がいやな気持ちになればハラスメントだろう。そこでハラスメント研修を行って意識を高める必要がある。

では実施率はどのくらいあるのだろうか。「実施している」と答えた企業はわずか36%。企業規模別に見ると、「1001名以上」では44%、「301名~1000名」では51%なのに対し、「300名以下」では20%と、規模が小さいほど実施率も低下する。

【図表1】ハラスメント研修の実施状況

「HR総研 人事白書2016」人材育成に関する調査結果【7】 ハラスメント研修

ハラスメント研修は内製化が定着

実施方法に関しては、「自社(グループ会社)で実施(内製)」が66%と圧倒的に高い。ハラスメントに関する研修は2000年代中盤くらいから実施されてきているため、自社・グループ内にナレッジが蓄積されてきているのかもしれない。次の設問で対象者を聞いているが、対象者数が増えるほど研修実施の負担が大きくなるため、必然的に内製化の方向に向かうという事情もあると思われる。

【図表2】ハラスメント研修の実施方法

「HR総研 人事白書2016」人材育成に関する調査結果【7】 ハラスメント研修

研修対象者は「全員」が最多で5割、次いで「課長」「部長」

次にハラスメント研修の対象者について聞いたところ、最も多かったのは「全社員」(51%)だった。企業規模の大小にかかわらずこの傾向がみられた。
次いで多かったのは「課長」(37%)、「部長」(27%)などの管理職クラスだった。特に「301名~1000名」の企業では、「課長」と「部長」の数字が高い状況だ。中堅規模の企業では、課長、部長クラスの意識改革に力を入れている企業が多いということなのだろう。


【図表3】ハラスメント研修の対象者

「HR総研 人事白書2016」人材育成に関する調査結果【7】 ハラスメント研修

対象者が管理職である背景は「管理職の認識不足」

ハラスメント研修の対象者として「部長」「課長」などの管理職が選ばれているその背景には「管理職の認識不足」があるようだ。ハラスメント研修を実施する理由を聞いたところ、「管理職の認識不足」(58%)が最も多く、「301名~1000名」の企業では72%に達している。中堅企業ほど管理職のハラスメント意識の向上に努めているようだ。
フリーコメントとしても、「管理職の知識が欠如している」、「中間管理職層による無意識のハラスメント事案が増えており、早急な意識改革の必要性に迫られている」、「何がハラスメントにあたるのか理解していない従業員が多い」などの意見が寄せられた。


【図表4】ハラスメント研修実施の背景

「HR総研 人事白書2016」人材育成に関する調査結果【7】 ハラスメント研修

最も多い研修内容は「専門家による講義」

ハラスメント研修の内容は、「専門家による講義」(36%)、「ケーススタディ分析」(36%)、「グループディスカッション」(33%)となっており、上位3つに大きな差はない。一方「面談」はわずか1%だった。

具体的な内容を見てみよう。フリーコメントとしては、「全体集会等で資料を配付し、具体例を紹介した」、「ハラスメントの種類を説明し、ハラスメントは受ける人間によって変わることを受講者に認識させた」、「実際に世の中にあった事例をベースにディスカッションを行い、チームとしての回答をまとめ、さらに専門家のフィードバックをもらった」といった意見が寄せられた。いずれにせよ、「専門家による講義」と「ケーススタディ分析」と「グループディスカッション」を組み合わせた研修内容が多いようだ。

ハラスメントは、ハラスメントを受ける・受けた立場でないと、それがハラスメントであるとは気づきにくいことが多い。「こういうケースがハラスメントになる」ということを知識として得るだけでも、ハラスメントに対しての注意力が向上する。研修内でいかに実感値をもたせられるかが重要になるだろう。

【図表5】ハラスメント研修の内容

「HR総研 人事白書2016」人材育成に関する調査結果【7】 ハラスメント研修

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査対象:上場および未上場企業人事責任者・担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2016年7月29日~8月5日
有効回答:169社(1001名以上:48社、301~1000名:49社、300名以下:72社)

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