高インフレ・為替変動・住宅費高騰等の海外派遣者対応の実態調査結果
組織・人事、福利厚生・ウェルビーイング、資産運用のグローバルリーダー、マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO 草鹿 泰士)は、海外派遣者処遇を確認するスナップショットサーベイ(2022 Navigating international assignments through difficult times )の結果を発表した。世界的なインフレの加速、急激な為替変動、世界各国における住宅費や水道光熱費の高騰などにより、海外派遣者はこれまでになく不安定な環境に置かれている。こうした状況下において企業には、機を見た迅速な対応だけでなく、困難に直面している社員に寄り添う姿勢も求められる。
派遣者特有の不便(給与の支給が本国・任地で分かれているためやりくりしにくいなど)を考慮し、個人の事情に応じて任地支給額の変更を認めるなど、会社の柔軟な対応、配慮は検討に資するだろう。
マーサーは、クライアント企業が従来のモビリティポリシー・運用ルールに沿って対処しているのか、あるいは臨時的措置を講じたのか、グローバル規模で実例を収集した。調査はマーサーの生計費指数、生活環境指数等のデータを利用している企業を対象に、2022年12月15日-31日に実施し、409社の日本企業から回答を得た。
本サーベイについて、マーサージャパン プロダクト・ソリューションズ部門モビリティプラクティス代表の内村幸司は、次のように述べている。
「多くの企業は各国同時多発のインフレに対して「特別な対応はしない」と答えている。これは海外派遣者に支給されている「任地生計費」が本国の生計費額を基準に本国と任地の物価差を考慮したものであり、かつ、インフレの影響を受けている住宅費や自動車費用などはそもそも会社が別途対応しているからだと考えている。規程やルールに基づき冷静に対応している様子が見受けられた。一方、「ケースバイケース」で対応するという回答もあり、具体的な施策として回答されていた「生計費指数の臨時改定」は、現行規程の範囲内で実施することができ、他企業にとっても参考になるだろう」
<調査概要>
・ 調査方法:インターネット調査
・ 調査期間:2022年12月15日-31日
・ 回答企業:409社
主な調査結果
本サーベイ(全38問)では、マーサーのクライアント企業各社が講じた海外派遣者処遇の最新施策について、「任地生計費」「任地住宅」「水道光熱費」そして「ハードシップ」の側面から調査した【任地生計費】
・現在の経済環境を踏まえ、「給与改定/特別措置を行う予定がありますか」という質問に対して、「行わない」と回答している企業は57%だった。一方、特別措置を行う場合は、「海外勤務手当に上乗せ」「直近の指数を確認し、指数の変動度合に応じて臨時改定」等が回答された
・給与改定を行った結果、購買力が低下しても、64%の企業が「特別なことはしないで、計算結果通りに生計費差額を適用する」と回答している。一方、「ケースバイケース」と回答した企業は25%だった
【任地住宅】
・現在の経済環境を踏まえ住宅費施策において特別な措置を講じているか、という質問に対して、「差し当たって特別な措置は講じていない」という回答は71%、「現状の方針で十分である」と回答したのは13%である
【水道光熱費】
・現在の経済環境を踏まえ水道光熱費の取り扱いを変更するか、という質問に「いいえ」と回答した企業は93%だった
【ハードシップと支援について】
・今回のロックダウンや健康維持をめぐる環境の変化に対して88%の企業が追加手当等金銭的な措置について「特別なことはしない」と回答している。一方で、何らかの形で非金銭的な追加支援を行っている企業は7割を超えていた。医療サポート(オンライン・電話)、非現金給付(食料品や生活必需品の送付)、リモートワークの許可等で追加支援をしている企業が多かった