株式会社ラーニングエージェンシーは、ビジネスパーソン5,995人に「ビジネスパーソンのキャリアや学びに関する意識調査」を行いました。その中から「ミドルシニアのキャリアと学び」に関する結果を公表いたします。
■調査の概要■1. 95.3%のビジネスパーソンが新しい知識・スキルの習得が必要と回答。
知識習得のため動画視聴、セミナーへの参加が最も多いのは50代以上
2. 半数以上のビジネスパーソンが社外研修の機会を希望。ミドルシニアは自身での学習を重視する傾向
3. 専門領域の強化が年代共通の課題。
ミドルシニアの約半数が今後「IT・デジタル関連のスキル」の習得が必要と回答
4. ミドルシニアのキャリアについて「今の働き方を継続したい」が最多で30%以上
*本調査では、40代~50代以上をミドルシニアとして定義しています。
■調査の詳細■
1. 95.3%のビジネスパーソンが新しい知識・スキルの習得が必要と回答。知識習得のため動画視聴、セミナーへの参加が最も多いのは50代以上
今後働いていく中で「新しい知識・スキルの習得は必要」と回答したビジネスパーソンは95.3%でした。多くのビジネスパーソンが自身の知識・スキルに対して変化の必要性を感じていることがうかがえます。
また、新しい知識・スキルの習得のために自身で行っていることを見ると、年代による順位の大きな違いは見られませんでした。最も多い回答は「書籍での自己学習(55.2%)」となり、次いで「動画コンテンツの視聴(無料)(29.1%)」、「勉強会やセミナー、コミュニティへの参加(無料)(21.9%)」の順で取り組まれています。「動画コンテンツの視聴(無料)」と「勉強会やセミナー、コミュニティへの参加(無料)」の2つにおいては、50代以上が最も取り組んでいる割合が高くなりました。
その一方で、50代以上では約4人に1人が「特に取り組んでいるものはない」と回答しています。
2. 半数以上のビジネスパーソンが社外研修の機会を希望。ミドルシニアは自身での学習を重視する傾向
勤務先で利用したい支援は、年代問わず「社外の研修を受ける機会(50.1%)」が最も多く、「書籍やeラーニングなどの教材(38.9%)」「資格取得支援の制度(38.2%)」「社内の研修を受ける機会(37.9%)」が上位を占めました。
年代別で見ると、「資格取得支援の制度」は20代、30代が40%以上選択しているのに対し、50代は26.1%にとどまりました。どの項目も若い世代ほど利用したいと回答する割合が高い傾向が見られますが、「書籍やeラーニングなどの教材」を利用したいと回答した割合のみ、50代(41.0%)が最も多く、年代が下がるほど割合も低い結果となりました。
3. 専門領域の強化が年代共通の課題。ミドルシニアの約半数が今後「IT・デジタル関連のスキル」の習得が必要と回答
自身が今後新しく身につける必要があると思うスキルについて尋ねました。全体の割合で見ると、「自身の専門領域と関連する領域(60.2%)」「自身の専門領域(59.6%)」に回答が集まりました。「今持っているスキルとは全く別の領域のスキル」と回答した人は25%程度にとどまり、自身が今取り組んでいる専門領域でのスキルアップを重視する傾向が見られます。
一方で、「思考力、コミュニケーション力など基本的なビジネススキル」「IT・デジタル関連のスキル」といった、職種・業種を問わず共通して必要とされるスキルについて、全体の割合では約半数が必要と回答。ミドルシニアにおいても4割近くが必要と回答しています。
4. ミドルシニアのキャリアについて「今の働き方を継続したい」が最多で30%以上
キャリアに対する意向を年代別に見ると、年代が上がるごとに「今の働き方を継続したい」という回答が増加します。
「全く違う仕事にチャレンジしたい」と回答した割合は、20代では10%を超え、30代以降では7%以下にとどまっています。「今の会社で違う業務にチャレンジしたい」という回答は、年代問わず6%程度にとどまりました。
■まとめ■
今回の調査では、95%以上のビジネスパーソンが新しい知識・スキル習得の必要性を感じている結果となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を含め、まさにVUCA時代といえる予測困難な状況下において「変化に対応しなければ」という危機感が、学ぶことへの積極性を高めていると考えます。具体的に身につけるべきスキルとしては、自身の「専門領域」でのスキルアップを重視している傾向が見られます。さらに、ミドルシニアに着目すると、40代、50代以上のベテランであっても「基本的なビジネススキル」や「ITスキル」を身につけようという姿勢が見られました。キャリアに関する意向が、新しいことへのチャレンジよりも「今の働き方を継続したい」人が多数となっていることから、ミドルシニアが今の職場・業務領域で今後も働き続けるために、新しい知識・スキルを学ぶことが必要になっていると言えます。
また、知識・スキルの習得方法としては、ミドルシニアの多くが書籍だけでなく、新型コロナの影響により一気に普及の進んだオンラインセミナーや動画コンテンツを利用しています。オンライン学習ツールは、学ぶ意識を持った人たちの心強い学習手段となっていることが今回の調査で明らかになりました。このように、すでに個人で学習に取り組んでいる一方で、勤務先に求めているものも「社外研修」や「教材」などの学習機会が多数という結果に。
企業としては、個人では手の届かない専門的な知識を学ぶ機会や、他者との学習機会を提供することが、社員の積極的な学ぶ姿勢を後押しすることに繋がるのではないでしょうか。特にミドルシニアである40代、50代になると、周りからの指摘を受けることが少なくなります。1人で学ぶだけではなく、自分と異なる見解や価値観、知識を持った社外の人から学ぶことで、新しい知識・スキルの習得にとどまらず、社内にいると気が付けない自身の課題や強みを見つけるきっかけにもなるでしょう。一つの会社で成果を出すために真摯に業務に取り組んできた40代、50代のビジネスパーソンにこそ、このような機会の提供が必要になると考えます。
詳しい調査結果はこちら:【ミドルシニアのキャリアと学びの調査】ミドルシニアの約50%が今後「IT・デジタル関連スキル」が必要と回答