「KSF」とは、Key Success Factorの略で、日本語では、重要成功要因といい、経営戦略を達成するために何が必要かを定めることをいいます。
「競争のルール」と呼ばれる業界における勝利条件を見極める外的環境分析、自社の強みを活かす選択をする内的環境分析、それらを突き詰め、その事業が成功か否かを見極めます。勝利条件と自社の強みがその事業にマッチングしなければ、撤退した方がいいと言われています。
よくある例としては、化粧品メーカーは、ブランド力や認知度を高めることがKSFの要件となります。また、コンビニエンスストアの品ぞろえもKSFの要件ともいえます。
このKSFの要件は、環境によっても左右されます。たとえば、ある程度質のいいものを安く売れる強みは、安く買うことを好む地域に店舗を出せば、KSFとなります。しかし、多少高くてもいいものを求める地域に店舗を出したら、市場とマッチングせず、苦戦する見込みがあります。この場合は、KSFとはなりません。
KSFを突き詰めると、具体な数値目標のKGI(Key Goal Indicator:経営目標達成指標)やKGI達成の計測値となるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)に収斂されていくため、KSFは経営戦略の成否を決定します。このKSFが明確になっていると、半年後、1年後、3年後も見据えた事業計画書が作れるため、新規ビジネスもうまくいきやすいと考えられます。
要は、その業界で、その市場に出ていったときに、競争に負けずに勝てるのかどうかと、競争に負けずに利益を上げられるのかがポイントとなり、KSFの重要性がよくわかります。
KSFは、技術革新や顧客ニーズの変化など、様々な外部環境により変遷しており、継続して事業で成功を収めるためには、KSFの変化に伴って、資源配分やビジネスモデルそのものも変えていく必要があります。KFSの変局点では、成功企業が入れ替わるケースが多くなっています。継続して生き残っていくためには、従来の成功体験に囚われることなく、KSFの変化にすばやく対応していくことが求められます。
なお、同義語として、CSF(Critical Success Factor)が挙げられます。