「育児休業」とは、育児・介護休業法によると、労働者の申し出により、子が1歳に達するまでの間に取得できる制度で、男女問わず利用できます。またこれは、一定範囲の期間雇用者にも適用対象となっています。日々雇用される者は対象となりません。
平成17年4月の法改正により、一定範囲の休業の取得によって雇用の継続が見込まれる一定の範囲の期間雇用者は、育児休業がとれるようになりました。この一定の範囲の期間雇用者となるには2つの条件があります。
1.同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。
2.子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)。
つまり、労働契約形式上、雇用期間が定められていても、実質的に期間の定めのないものと変わりない場合は、育児休業の対象になります。
またこの法改正では、一定の条件により、1歳6か月まで育児休業の取得が可能となりました。次の条件のいずれかに当てはまる場合、子が1歳6か月に達するまで育児休業が可能になります。
1.保育所に入所を希望しているが、入所できない場合。
2.子の養育を行っている配偶者であって、1歳以降、子を養育する予定であったものが、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合。また、育児休業中の労働者が継続して休業するほか、子が1歳まで育児休業をしていた配偶者に替わって子の1歳の誕生日から休業することもできます。
これらのほかに、企業によっては就業規則などで、独自の上乗せ規定を設けられている場合もあります。
育児休業中は、原則として給与は支給されませんが、それを補うために、育児休業基本給付金と育児休業者職場復帰給付金の支給を受けることができます。また、申請をすると、社会保険料の支払いが休業中のみ免除されます。もちろん、免除期間中も普通に保険証を利用することができます。
なお、育児休業は、法律に基づき、労働者が取得できる権利です。会社に規定がない場合でも、一定の条件を除き、申出により育児休業を取得することができます。
現在では、育児休業の整備がされてきつつあり、しっかりと育児休業をとれる企業が増えてきていますが、まだまだ育児休業の取得率は女性でも低く、男性となると、その数は、2.63%(平成23年度雇用均等基本調査より)とごくわずかとなります。
雇用主が法律の趣旨を認識し順守し、女性が結婚・妊娠・出産後も在職・仕事を継続したほうが企業や雇用主にとっても有益であるという考えを持ち、それを実施する意思がある雇用主が増えなければ、育児休業取得率はなかなか上がらないのではないでしょうか。