「シックスシグマ(Six Sigma)」とは、主に製造業で使用される経営・品質管理手法です。製造部門だけではなく、営業部門や企画部門などの間接部門へも適用されるこの手法は、統計分析手法、品質管理手法を体系的に用いることで企業活動の様々なプロセスの分析を行い、問題に対する原因及び対策案を見出すことで品質や顧客満足度の向上を目指します。
シックスシグマという言葉は、もとは統計学上で標準偏差(ばらつきを表す言葉)を意味する「σ」が起源となっています。「100万回の作業を実施しても不良品の発生率を3.4回に抑える」(確立でいうと3.4/1,000,000)ことへの目標としてシックスシグマという言葉が使用され定着しました。
1980年代にモトローラ社(Motorola, Inc)の技術者ビル・スミス氏(Bill Smith)によって開発されたシックスシグマの手法は、当時の日本の製造業で一般的に行われていた「QCサークル活動」を参考に生み出されたと言われています。ボトムアップ型の手法で、完成品の結果重視のQCサークル活動に対して、シックスシグマはトップダウン型手法で行う活動として考案され、結果だけではなくそこに行きつくまでのプロセスそのものを重視しました。
その後、ゼネラル・エレクトリック社(General Electric、略称GE)のジャック・ウェルチ氏(Jack Welch)が経営に取り入れ発展させたことによってシックスシグマは広くに世間に知られるようになります。製造業から金融業にいたる幅広いビジネス展開を行っていたGEは、全ての分野でシックスシグマを導入し、品質を向上させることで顧客満足度を向上させ、利益を増大させる成功を収めました。
徹底した社員教育を行うことで有名なGEは、教育システムを通じて全社員にシックスシグマを浸透させました。現場ではシックスシグマの教育を受けたブラックベルト(黒帯)と呼ばれる改革認定者が2つの指標をもとに品質の低下の原因究明やプロセスの改善を推し進めていました。その2つの指標とは、1)COPQ(cost of poor quality; 欠陥品など品質問題により生じるコスト)と、2)CTQ(critical to quality; 経営上重大な問題を引き起こす要因)です。上記2点に加え、MAIC(measurement ? Analysis ? Improvement ? Control; 測定―分析―改善―コントロール)のサイクルを活用して改善プロセスを遂行しています。
MAICの活用にはシックスシグマ到達のための6ステップが設定されています。ステップ1)自社の商品・サービスの特定、ステップ2)自社の製品・サービスが対象としている顧客の特定、その顧客が重視しているものの見極め、ステップ3)顧客を満足させる商品・サービスを自社が供給するために必要なものを特定、ステップ4)マッピング作業を行うためのプロセスの定義、ステップ5)上記プロセスを誤りの無いものとし、失われる労力を除去、ステップ6)測定、分析し、改善されたプロセスを管理すること(MAIC)により、切れ目のない改革を継続。
アメリカで生まれ発展したシステムシグマは、約10年後の東芝社への導入を皮きりに、日本企業にも浸透しはじめました。