アルムナイ(alumni)は、英語で「卒業生」「同窓生」といった意味です。人事分野では定年退職者以外の退職者を指す言葉して使われています。

欧米の企業では、このアルムナイを貴重な人材リソースと捉え、退職後もコンタクトを取り続けて組織化し、そこから再雇用する「アルムナイ制度」が、一般的なものとなっています。

かつて日本では、定年以外の理由で退職した人をよく思わない風潮がありました。終身雇用制度が長く続き、親の介護や家業を継ぐなど、よほどの理由がない限り、同じ会社に一生勤務するのが当たり前だったのです。

やり甲斐やより良い処遇を求めて転職したり、独立したりして職場を去っていく人は、組織から身勝手な裏切り者のように見られていました。

しかし、終身雇用制度は崩壊し、転職は当たり前のものとなりました。同時に、我が国は人口減少社会に突入し、採用難が深刻化しています。そんな状況のなか、日本でも、アルムナイに注目が集まるようになってきました。

アルムナイは、もともと自社にいた人達ですから、社内の事情に精通していて、人間関係も分かっています。仕事の進め方も心得ており、商品知識なども豊富でしょう。

また、他社を経験したことで視野が広がり、違った視点から自社の問題を指摘するなど、社内に新しい風を吹かせてくれる可能性もあります。

とはいえ、会社を出ることを自ら決断した人達ですから、かつて居た会社に戻ることに、ためらいを感じる人も多いようです。

アルムナイの活用のためには、退職する際、気持ちよく送り出し、その後もコンタクトを取り続けたり、外資系企業で見られるようなアルムナイの交流会を定期的に開催したりするなどの取り組みが必要でしょう。