「ISO29990」とは、職業訓練や生涯学習、社内研修といった非公式教育・訓練分野における世界初の国際規格で、国際標準化機構(ISO)によって2010年9月1日に発行された「非公式教育・訓練のための学習サービス事業者を対象とした基本的要求事項」の略称です。

この認証を取得することが想定される教育・訓練サービス事業者は、主に学習塾、語学教室、民間の職業訓練機関、企業内研修を請け負う研修事業者、資格取得や生涯学習のためのスクールなど。ISO29990は、このような非公式教育・訓練、人材育成の企画、開発、提供に関して、学習サービス事業者などが提供するサービスの品質保証と向上を目指す上で指針となることを目的としています。

この規格が誕生した背景には、グローバル化が進む中で、世界で活躍できるグローバル人材育成の必要性が高まり、外国人の雇用も増加してきたことから、自国だけではなく、世界のどこでも通用する一定の品質の教育訓練サービスが求められるようになってきたことがあります。

ISO29990には、「学習サービスのプログラムとプロセス」に関する要求事項、「サービス事業者のマネジメント」に関する要求事項、という2つの要件が規定されています。これらの要求を満たすことで、提供される学習サービスの品質と事業者の経営の健全性が担保される仕組みです。事業者にとって、認証取得のメリットは、マネジメントシステムを運用していくことによってサービスの品質向上と継続的な改善を行えることに加え、顧客からの信頼性が向上し、競合他社との差別化が図れることです。さらには自社の業務を見える化・標準化することもできます。

日本国内では2014年8月時点で、人材開発コンサルティング会社、教育・語学サービスの提供会社、職業訓練校など、約40の組織がこの認証を取得しています。

今後も取得する企業が増えていけば、企業の人事担当者にとっては、教育研修や人材開発コンサルティングなどのサービス会社を利用する際、「ISO29990認証を取得しているかどうか」が、1つのチェック項目となってくるでしょう。