株式会社ワークポートは、2024年10月24日に、ビジネスパーソンを対象に実施した「人事評価の満足度」に関する調査結果を発表した。この調査は、多くの企業の上半期である4月~9月の人事考課時期である同年10月9日~16日に実施されたもので、計455人(20代~40代・男女)より回答を得ている。調査結果からは、納得感やモチベーション管理への悪影響など、働き手の会社に対する意識が明らかとなった。

「人事評価」に7割が改善希望…やる気をなくす人も。モチベーション低下・転職防止には“フィードバックによる納得感の醸成”を

6割以上が「人事評価の不明瞭さ」に不信感。“評価基準の曖昧さ”が課題

仕事に熱意を持たず最低限の業務だけをこなす働き方「静かな退職」が若者を中心に広がっていることが注目されており、組織エンゲージメントの観点から問題視されている。個人の頑張りが組織に業績として認められる「人事評価」との関係も強いと考えられるが、実際にビジネスパーソンは評価制度をどう見ているのだろうか。

まず、「会社の人事評価基準は明確か?」と同社が尋ねた結果、「明瞭だとは思わない」と答えた人の合計は61.7%となり、過半数が少なからずネガティブな考えを持っていることがうかがえた。
人事評価の明瞭さ
具体的に挙げられた声として、「不明瞭だ」と感じている人からは以下のような意見があがった。

【会社の人事評価の基準について不明瞭だと感じる点(一部抜粋)】
●「評価基準が社員に公開されていない」(30代・女性・管理)
●「成績より評価者の好き嫌いのような気がする」(40代・男性・運輸交通)
●「評価に対する根拠の具体的な説明が一切ない」(20代・女性・公務員)
●「評価面談がない。賞与の基準もまったくわからない」(40代・男性・建築土木)
●「絶対評価ではなく、相対評価となっている」(30代・女性・システムエンジニア)

約8割が“働く意欲・モチベーションを低下させている”問題

続いて、同社が「会社からの人事評価によって仕事のモチベーションが下がった経験があるか?」と質問すると、「とてもある」が44.8%、「どちらかといえばある」が31.6%で、計76.4%と8割近くが“モチベーションダウン”を経験していることがわかった。人事評価への不満は「静かな退職」の一つの要因とされており、組織に対する納得感にも深刻な影響を与えていることが感じられる結果となっていた。
人事評価のモチベーションへの影響
モチベーションが下がったという人に、その理由をフリーコメントで尋ねたところ、以下のような声が挙げられた。

【会社からの人事評価でモチベーションが下がった理由(一部抜粋)】
●「やってもやらなくても全員同じ評価のため」(20代・男性・公務員)
●「上司に意見したことで評価が下がったため」(20代・女性・コンサルタント)
●「業務について理解していない人が評価者であり現実に即していないため」(40代・男性・コールセンター)
●「成果によって評価すると言いながら実際は年功序列で給与が決定されていたため」(20代・女性・製造)
●「自己研鑽を積んでも評価に反映されず努力して技術を高める意欲がなくなったため」(30代・男性・医療福祉介護)

具体的な改善要望に「部下からも“上司としてどうか”の評価をさせてほしい」との声も

最後に、同社が「会社の人事評価に対し、改善してほしいことがあるか」を質問したところ、全体の71.0%の人が「はい」と回答しました。
人事評価の改善要望
ここでも、具体的にどのような改善を望むかと自由記述で聞いたところ、「評価基準を明確にしてほしい」との意見が大多数を占めた。そのほかの意見も含めて以下に紹介する。

【会社の人事評価に対する具体的な改善要望(一部抜粋)】
●「明確な評価基準を設け、周知をしてほしい」(30代・男性・管理)
●「能力給の目安を明確にしてほしい」(20代・女性・コンサルタント)
「評価の給与反映と適切なフィードバックを実施してほしい」(30代・男性・管理)
●「部下が行っている業務内容を正しく理解して評価してほしい」(30代・女性・その他)
●「部下からも“上司としてどうか”の評価をさせてほしい」(40代・女性・企画マーケティング)
企業が個人業績を元にした賞与(ボーナス)の査定を進める時期に実施された本調査では、多くのビジネスパーソンが会社の人事評価に対して不明瞭な印象や不満を感じていることが明らかとなった。この実態について、調査主体であるワークポート社は「公平な評価を受けられない・がんばっても評価されないといった状況がモチベーションの低下につながり、“静かな退職”の原因や転職のきっかけにもなっているのかもしれない」との見解を示した。従業員のエンゲージメントを高め組織として成長していくために、企業には人事評価制度の公平性・透明性・納得性を高めていくことが不可欠といえそうだ。

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