行動に対する「好み」を知ることで、良好な人間関係を築きやすくする!
どれが良くてどれが悪いという問題ではない。相手には行動スタイルがあり、それに合わせた対応が琴線に触れていくのである。「外交的」な人は、自分のテリトリー外にあるものに価値を見出し、エネルギーもそちらへ向かう。
「内省的」な人は、自分の内側へ関心やエネルギーを注ぎ、自分のテリトリー外にあるものにはあまり気に留めない。
「結果重視」の強い人は、論理性・合理性を重視、チームワークよりは業績やアウトプットにこだわる。
「人柄重視」の強い人は、調和やチームワークこそが最優先と考える。仕事の面白みは自己満足より顧客満足にあると捉える。
つまり、同じ「外交的」でも結果重視の方は「調和やチームワーク」が苦手でもある。そのため、理由をはっきりとさせ、「○○のため、あなたにやっていただくのが一番合理的なんです」という言い方が好まれるのである。反対に、人柄重視の方は合理的な理由ではなく、「あなたに代わっていただけると、みんなが喜びます、ありがたいです」という言い方が好まれる。
行動診断の最大の強みは、行動に対する「好み」を知ることで、良好な人間関係を築きやすくすることである。
「関係性に基づく集合的無意識」が「ビジョン」の始まり
良好な人間関係ができあがってくると、その関係性に基づく集合的無意識が生まれてくる。その集合的無意識が「何かを停滞と感じ、それを打破したいという気持ち」を生むのである。一言でいえば、「夢」であり、「ビジョン」であろう。人は単純に食べることに困らず、暑さや寒さから身を守ることができれば生きていける存在ではない。危機を回避しつつ、日常に夢をもたらすことを強く求める存在でもある。現実と夢とをくるくると循環させながら、悲しみや辛さを喜びへ変えていき、少しずつ前進しているのである。
例えば、洋服は単に、自然から身を守るためだけに着ているわけではないだろう。お気に入りの洋服を買い、身に付けるのも夢への小さな一歩であろう。小さな一歩とは言え、相応の喜びと苦難も背負うことにはなる。しかし、夢と言うと、必ずと言っていいほど、夢で飯を食えるのだろうか?と言う方がいらっしゃる。反対に問いたい、夢を見れない、語れない、夢のない会社が果たして飯を食えるのか?と。
漠然としていて、うまく絵を描ききれていない、言葉として落とし込めていないというのなら、まだわかる。少しずつ行動して、具体的にしていけばいいのである。時間もかかるだろう。まったく行動もせず、夢で飯を食えるのだろうか?と言う方に比べれば、何百倍も可能性がある。
良好な人間関係を築く上で、「夢」や「ビジョン」は不可欠な要素である。なぜなら、ビジネス上では、この人に任せれば売上が上がる!と信じていただくだけの「何か」を努力によって補って、相手へ提示し続けていく必要があるからだ。と同時に、見えない(モノではない)価値にはお金を支払わない国民性が根っこにあり、それが良好な人間関係を築く上での障壁になっているのも事実である。それでもなお、夢やビジョンを『物語』として相手へ何度も伝えていくことが良質な人間関係へつながるのである。
アーネスト・ハート
社会保険労務士 竹内 元宏