「正社員の人手不足」を感じる企業は51.0%、高止まりで推移
構造的な人手不足が問題視されている昨今。人手不足感を慢性的に感じている企業及び経営者も多いと考えられるが、2024年4月時点での、企業における雇用の過不足状況の実態はどうなっているのだろうか。はじめに帝国データバンクが、「正社員が不足している」と感じている企業の割合を調べると、全体で51%となった。前年同月と比較すると‐0.4ポイントとわずかな低下にとどまり、新卒社員が入社することで人手不足が緩和される傾向にある4月においても、“人手不足感”の高止まりが続いている現状がうかがえる。
また、「非正社員が不足している」と感じている企業の割合についても調べると、30.1%となった。こちらも前年同月比‐0.6%とわずかな低下で、正社員の人手不足感と同様の傾向になっている。
「人手不足割合」の高い業種は「IT」、「旅館・ホテル」など
次に同社は、「正社員の人手不足割合」を業種別で示した。トップとなったのは「情報サービス」(主にIT企業)の71.7%で、7割以上の高水準が18ヵ月連続で続いているという。こうした高い人手不足状況について、「情報サービス」関連の企業からは、「AIブームの中で人材確保ができず、自社内での開発を断念するなど、過去と比べて案件数が減少傾向にある」、「開発案件は十分にあるものの、それに対応できるスキルを持った人材が不足しており、受注に至らない」といった課題に関する声が挙がっているとのことだ。他方で、それ以外の業種を見ると、「旅館・ホテル」も71.1%と高い数値を示した。インバウンド需要が活況となる中でも、深刻な人手不足が起こっているようだ。そのほか、「建設」が68.0%、「自動車・同部品小売」が64.9%など、6業種が6割台と高い数値になっている。
「旅館・ホテル」、「飲食」は2023年と比べ低下傾向に
先の結果で「人手不足割合」が高い水準となった「旅館・ホテル」については、他業種と比較して高い数値であるものの、8割に迫る数値を示していた2023年と比べると低下の傾向にあるという。また、2023年に61%と6割を超え、人手不足割合が上昇傾向にあった「飲食店」についても、2024年は56.5%と低下に転じている。行動制限がなくなり、コロナ過と比べて活況となっている旅行需要・外食需要に対し、「旅館・ホテル」・「飲食」業界はそれぞれ人手不足の解消に励んでいる様子だ。