テレワーク導入企業の半数以上がオフィス回帰の傾向に
新型コロナの5類移行を境に、コロナ禍にテレワークを導入していた企業でオフィス回帰が進んでいる。そのような中、企業は緊急事態時の事業継続性確保のため、事業継続計画(BCP)や事業継続マネジメント(BCM)を策定しているのだろうか。はじめに月刊総務は、テレワークを導入している企業に勤める総務担当者に対し「勤務先は『オフィス回帰』をしているか」と尋ねた。すると、「出社が増えている」が52.4%と最も多く、半数を占めた。以下、「ハイブリッドな働き方を継続している」(41%)、「テレワークを基本とした働き方をしている」(6.6%)と続いた。
オフィス回帰でよかったことは「コミュニケーションの取りやすさ」がトップに
続いて同社が「オフィス回帰でよかったと思うこと」を尋ねたところ、「コミュニケーションの取りやすさ」(89.5%)が最多で、次いで「マネジメントがしやすい」(36.8%)となった。対して「オフィス回帰により発生した業務や困ったこと」を自由回答で聞いたところ、「オフィスを縮小したので、全員が出社できる席数がない」、「来客対応の急増」といった声が寄せられたとのことだ。
また、「総務は他の職種と比較し、出社頻度に違いはあるか」と尋ねたところ、4割以上が「総務の方が出社回数が多い」と答えたという。
事業継続マネジメント(BCM)を「策定済み」は2割にとどまる。策定中と合わせると約3割に
次に同社は、「事業継続マネジメント(BCM)を策定しているか」と聞いた。すると、「策定済み」は24.7%と2割にとどまった。また、「策定中」は8.6%で、BCMの策定済み・策定中の合計は33.3%と3割程度だった。事業継続計画(BCP)の策定状況は「策定済み・策定中」が約6割に
続けて「事業継続計画(BCP)の策定状況」を尋ねたところ、「策定済み」(45.2%)と「策定中」(12.9%)を合わせると58.1%で、6割に迫った。BCP策定済み・策定中の全企業が「自然災害(地震、水害等)対策」を盛り込む
そこで、「BCP対策済み・対策中の企業」に対し「どんなリスクに対してBCP対策をしているか」を尋ねたところ、「自然災害(地震、水害等)」は100%と、全社が対策をしていた。以下、「パンデミック(インフルエンザ、新型ウイルス等)」(75.9%)、「情報漏洩やセキュリティのトラブル」(48.1%)と続いた。さらに、「新型コロナウイルス感染症拡大に対応するため、2020年2月以降に新たに策定・改定した対策はあるか」を尋ねたところ、「テレワーク制度の整備」が6割を超え、最多だったとのことだ。
今後強化すべき対策は「情報の電子化」が最多に
また、「今後、どんな対策を強化すべきだと思うか」を質問したところ、「情報の電子化(ペーパーレス化等)」が43%と最も多かった。以下、「緊急時の指揮命令系統の確率」、「業務システムのクラウド化」、「緊急時初動対応の社内周知」がそれぞれ33.3%で続いた。コロナ対応で進展したことは「業務のデジタル化」が7割以上
最後に同社は、「コロナ対応によって、会社として進んだこと、改善したと思うこと」を聞いた。その結果、「業務のデジタル化」(71%)が最も多く、以下、「働き方の多様化」(60.2%)、「ペーパーレス」(49.5%)と続いた。また、「コロナ対応により、後回しになってしまった総務の仕事」を自由回答で募ったところ、「オフィス移転が延期になった」、「BCP計画策定(感染症対策)に比重が偏り、(災害対策)の見直しが後回しとなった」といった声が聞かれたという。