「難易度の高まり」や「採用競合の増加」を実感か。中途採用は難化傾向に
昨今、構造的な人材不足が問題視されているが、企業現場での中途採用は変わってきているのだろうか。はじめにリクルートは、「2021年度と比較して、2022年度の中途採用全体の難易度はどう変化したか」を尋ねた。すると、「難しくなった」が12%、「やや難しくなった」が31.3%で、合計は43.3%と4割超の企業が「中途採用は難化している」と答えた。また、「2019年4月~2022年3月の過去3ヵ年と比べると、採用競合が増えていると感じるか」と質問すると、「非常に感じる」が14.4%、「やや感じる」が39.8%だった。合わせて54.2%が、「競合は増えている」との実感をもっているようだ。
中途採用に成功している企業の方が「働き方の柔軟性向上」に取り組んでいる
続いて同社は、「中途採用の成功を目的として、どのような取り組みを行っているか」を尋ね、結果を「中途採用が上手くいっている」・「上手くいっていない」・「わからない」の3つの群に分けて分析した。すると、「中途採用が上手くいっている」と「上手くいっていない」で共通して最多となった項目は、「テレワーク導入など、働き方の柔軟性向上の工夫」で4割が回答。しかし、「上手くいっている企業」と「上手くなっていない企業」では5.4ポイントの差があった。他に上手く行っている企業とそうではない企業との間に差が見られた項目は、「地域限定社員の導入」(差分:7.2ポイント)や「新しい採用ブランディング施策の実施」(差分6.1ポイント)、「役員・経営者による直接の採用選考」(差分4.9ポイント)、「柔軟な給与提示」(差分4.7ポイント)だった。
過去3ヵ年より採用人数が増加した企業は3割未満
次に同社は、「過去3ヵ年と比較すると、採用人数は増加したか」を尋ねた。その結果、「大幅に増えた」(5.8%)と「やや増えた」(22%)の合計は27.8%と、採用人数が増えた企業は3割に満たないことがわかった。中途採用の目的は「特定の専用スキルを持つ人材の確保」が最多
続いて同社が、「現在の中途採用を行う背景」について尋ねると、トップは「特定の専門スキルを持つ人材を確保するため」で46.8%が回答。以下、「既存事業を拡大するため」(43.1%)、「特定層(若者や管理職層)で人材が不足しているため」(35%)、「退職者の欠員補充を行うため」(32.6%)と続いた。2022年度に中途採用を実施した部門は「営業部門」が約4割で最多
次に同社が、「2022年度に中途採用を実施した部門」を尋ねた結果、第1位は「営業部門」で37.9%だった。以下、「IT・システム部門」が26%、「販売サービスなどの顧客接点部門」が22.9%で続いた。営業部門にとどまらず、他の部門についても活発な採用が行われていることがわかった。2022年度に注力した採用手法のトップ2は「求人広告」と「人材紹介」
続いて同社は、「2022年度に力を入れた採用手法」を尋ねた。すると、「求人広告」(33.5%)が最も多く、以下、「人材紹介」(30.1%)、「ダイレクトリクルーティング」(26.4%)と続いた。また、「リファラル採用」(23.2%)や「ソーシャルリクルーティング」(20.4%)も2割を超え、5社に1社程度が力を入れているようだ。この状況について同社は、「人事としては時間や工数がかかる手法であるものの、中途採用の難化もあり採用ターゲットに応じた採用手法を選択していかなければならない状況にあるようだ」とコメントしている。
採用が上手くいっている企業の6割以上が「現場責任者と人事部の関係性が良好」と回答
最後に同社は、「採用するポジションの現場責任者と人事部の関係性」を尋ね、「中途採用の成果別」に分類して比較した。その結果、「採用が上手くいっている」とした企業では、「非常に良好な関係である」(9.7%)と「概ね良好な関係である」(56.2%)の合計は65.9%だった。対して、「採用が上手くいっていない」とした企業では、同合計が50.3%(6.3%、44%)となり、両者では15.6ポイントの差があることが明らかとなった。「上手くいっている」と回答した企業のほうが、現場責任者と人事の関係性も良好な傾向にあるようだ。人事と現場の関係性は、採用成功へも影響がおよぶと考えられる。