企業での「高卒採用」の割合は大卒に次いで高く
厚生労働省が取りまとめた「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」によると、2023年3月末時点での高校新卒の求人倍率は、3.49倍と大卒よりも高く、計測を始めた1998年以来最高だったという。では、2024年卒(以下、24卒)の高卒採用動向は、どのようになっているのだろうか。はじめにジンジブは、全体(593名)に対し「どの学卒の採用を行っているか」を複数選択式で尋ねた。すると、「大学・大学院卒」が73.7%で最多となり、次いで「高校卒」が50.1%となった。「短大・専門卒」(45.9%)や「既卒(大卒)」(40.6%)より「高校卒」の割合が上回ったことからも、高卒採用の需要の高まりがうかがえる。
高卒採用を実施する理由は「若手の人材を厚くするため」が7割で最多
次に同社が、「高卒採用を行っている」とした人(297名)に対し、「実施する理由」について質問した。すると、「若手の人材を厚くするため」が70.4%で最多だった。以下、「人材不足のため」が50.8%、「高卒採用が自社に合っているため」が29.3%、「多様な生徒の採用活動を行いたいため」が24.6%と続いた。若手人材の獲得に向け、高卒採用を実施している企業が多いと推測できる。高卒採用実施企業の約9割が24卒の高卒求人数について前向きな検討か
続いて同社が、「高卒採用を行っている」とした人に、「24年卒の求人募集人数の増減」について尋ねた。その結果、「増やす」(31.6%)と「変動しない」(55.9%)、「新たに始める・再開した」(1%)の合計は88.5%となった。高卒採用を実施する企業のうち、9割近くが2024年度は「増やす」または「変動なし」、「新たに開始・再開」の予定であることがわかった。昨年度、23年卒を対象とした同調査結果と比較すると、4.2ポイント増加したとのことだ。他方で、「減らす」は6.4%、「未定」は5.1%にとどまった。
24卒の募集人員を増やす理由は「若手人材の採用に力を入れるため」がトップ
次に、前設問で「24卒の高校新卒の採用計画にて、昨年と比較し求人募集人数を増やす予定」とした回答者に、「その理由」を同社が尋ねた。すると、「若手人材の採用に力を入れるため」(69.1%)が最も多かった。続いて、「業績向上における事業拡大のため」(53.6%)、「2023年卒の採用で採用予定人数に対し充足しなかったため」(45.4%)となった。6割以上が「高卒の新入社員とのミスマッチが起きている」と回答
続いて、「高卒採用を行っている」とした人に対し、「入社後に高卒の新入社員とのミスマッチが起きていると思うか」を同社が質問したところ、「よく起きている」(11.6%)と「まれに起きている」(53.6%)の合計が65.2%だった。一方、「ほとんど起きていない」、「起きていない」の回答は合計30.4%だった。入社後のミスマッチを減らすには「社内のコミュニケーション」が有効か
最後に、同社は「高卒採用を行っている」とした人に対し、「どのような取り組みがあれば入社後のミスマッチを減らせると思うか」を尋ねた。すると、「社内でのコミュニケーション機会を増やす」(56.7%)、「研修・教育体制を整える」(47.4%)、「悩み相談を受ける仕組みを整える」(41.6%)が上位にあがった。ミスマッチを減らすため、フォローアップ体制を重視する企業が多いことが見て取れる。また、「目標の明確化」や「キャリアアップの仕組み」も3割程度の回答があった。個人のキャリア形成にフォーカスを当てた取り組みに注力する企業もあるようだ。