「人材不足」が前回より順位を上げ国内企業の“リスク要因”の1位に
少子高齢化による労働力不足や、昨今の国際情勢による物価高騰など、企業はさまざまなリスクに晒されているが、喫緊の課題として捉えるべきリスク要因は何なのだろうか。デロイト トーマツはまず、「日本国内における、優先して着手が必要と思われるリスクの種類」を調査した。その結果、1位は「人材流出、人材獲得の困難による人材不足」で39.3%だった。以下、「原材料ならびに原油価格の高騰」が29.8%で2位に、「異常気象(洪水・暴風など)、大規模な自然災害(地震・津波・火山爆発・地磁気嵐)」が19.7%で3位となった。同グループによると、前回の同調査で「人材不足」の項目は2位であったという。特にサービス業では、新型コロナウイルス感染症流行期に比べて需要回復が見込まれることなどにより、前回の約3割から6割へと回答率が急増しているとのことだ。さらに、「原材料ならびに原油価格の高騰」は前回の5位から大幅に順位を上げたという。この結果の背景には、新型コロナによる休業などで離れた人材を取り戻したい意向や、政治情勢のサプライチェーンへの影響があると考えられる。
海外拠点で優先着手が必要なリスク、1位は「中国・ロシアにおける政治情勢」に
次に同グループは、「海外拠点における、優先して着手が必要と思われるリスクの種類」を調査した。その結果、1位は「中国・ロシアにおけるテロ、政治情勢」で30.9%だった。以降、「グループガバナンスの不全」が24.7%で2位、「人材流出、人材獲得の困難による人材不足」が21.1%で3位となった。昨今の不安定な国際情勢により、地政学リスクの高まりが海外拠点を有する企業に大きな影響をもたらしているようだ。経験したクライシスは2年連続で「自然災害関連」がトップ。2022年は「経済環境関連」も
また同グループは、国内の本社が経験したクライシス(危機・難局)の種類を探るべく、「2021年・2022年にクライシスを経験した企業において経験したクライシスの種類と発生時期」を調査した。その結果、2021年・2022年ともにトップとなったのは「自然災害関連」で、2021年が16%、2022年が14.6%だった。国内においては、「自然災害」による影響の大きさがうかがえる。また、2022年においては「経済環境関連」の項目も14.6%で、「自然災害関連」と並びトップだった。同項目の回答割合を2021・2022年で比較すると、2021年は8.5%であり、2022年は前年より6.1ポイント上昇している。同グループによると、特に小売り・流通業における同項目の回答率は、2021年の1割未満から2022年では2割以上となったという。新型コロナの影響を大きく受けた小売り・流通業においては、消費者の巣ごもり化などで、配送需要の拡大や価格競争の激化に対する危機感の高まりがうかがえる結果となった。