株式会社フォーバルは2022年12月23日、「中小企業のグリーントランスフォーメーション」に関する調査結果を発表した。調査期間は2022年10月3日~11月11日で、中小企業の経営者1,002名から回答を得た。「グリーントランスフォーメーション(GX)」とは、温室効果ガスの排出を削減しつつ、生産活動自体の脱炭素化に向けた変革を進める取り組みのことである。調査結果から、政府が提唱する2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会)実現に向けた具体的な取り組みが、中小企業ではどの程度進んでいるのかが明らかとなった。
「グリーントランスフォーメーション(GX)」に取り組む中小企業は僅か5%。約8割が「環境に関する従業員教育」も未推進

8割以上が環境目標への「具体的な取り組み方法は未策定」と回答

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする“カーボンニュートラル”を目指すことを宣言した。それに伴い、SDGsやESG経営への取り組みが、大企業を中心に盛んになってきている。そうした中で、温室効果ガスの排出を削減しつつ生産活動自体の脱炭素化に向けた変革を進める「グリーントランスフォーメーション」(以下、GX)への取り組み状況について、中小企業の進捗度はどうだろうか。フォーバルはまず、「環境目標に対する具体的な取り組み方法や計画の有無」を尋ねた。すると、「具体的な取り組み方法が策定できていない(わからない)」が77.5%、「目標は設定したが具体的な方法については検討中」が17.4%だった。「具体的な取り組み方法や計画がある」との回答は5.1%にとどまり、環境に対する取り組みを進める中小企業は少数派であることがわかった。
「グリーントランスフォーメーション(GX)」に取り組む中小企業は僅か5%。約8割が「環境に関する従業員教育」も未推進

組織内に向けて「環境目標や取り組みへの理解促進」を行っているのは1割未満

次に同社は、「環境目標や取り組み計画の組織内への周知・理解の程度」について尋ねた。すると、「組織内において周知および理解に至っていない」が65.9%、「部分的であり、不十分な面がある」が26.8%となった。「組織全体への周知および理解ができている」という企業はわずか7.3%と1割未満だった。
「グリーントランスフォーメーション(GX)」に取り組む中小企業は僅か5%。約8割が「環境に関する従業員教育」も未推進

7割強が「従業員の環境に関する知識向上」に取り組んでいない

続いて、「環境に関する従業員への継続的な教育・啓蒙活動の実施状況」を同社が尋ねると、最多となったのは「従業員への環境に関する知識向上などの取り組みや活動ができていない」で、73.6%が回答した。

次点以降は、「一部の従業員や部署に限られているなど全社的・継続的に実施できていない」(21.9%)、「e-ラーニングの実施や資料による情報共有を実施するなどして環境意識や知識向上への活動を継続的に実施している」(4.6%)となった。何らかの方法で教育・啓蒙を行っている企業の合計は26.5%と、4社に1社程度となっていた。
「グリーントランスフォーメーション(GX)」に取り組む中小企業は僅か5%。約8割が「環境に関する従業員教育」も未推進

環境目標の情報開示には「知識や管理体制などのリソース不足」が課題か

さらに同社は、「環境目標に対する取り組みの進捗状況の管理・記録の実態」について質問した。すると、多かった順に「開示できるような文書または手段を持ち合わせていない」(80.7%)、「情報の管理・保管体制が整っておらず開示が円滑にできていない」(15.1%)となり、これらの合計が95.8%となっていた。ほとんどの企業で、環境目標に対する取り組みが進んでいないとわかった。
「グリーントランスフォーメーション(GX)」に取り組む中小企業は僅か5%。約8割が「環境に関する従業員教育」も未推進

「環境目標に対する計画・プロセスの修正や更新」ができているのは5社に1社程度

最後に同社は、「環境目標に対する計画やプロセスの修正・更新ができているか」を尋ねた。すると、最多となったのは「見直しの取り組みができていない」(81.4%)で8割を占めた。他方で、「取り組みの内容の見直しはしているが文書化した情報の修正・更新ができていない」(15.7%)、「都度、見直しを実施して文書化した情報の修正・更新をしている」(2.9%)の合計は18.6%だった。計画のプロセス修正および更新に取り組めている企業は2割未満となっていた。
「グリーントランスフォーメーション(GX)」に取り組む中小企業は僅か5%。約8割が「環境に関する従業員教育」も未推進
先述のように、カーボンニュートラルの目標達成に向け、GXを推進する企業は増えていくと予測されるが、現時点での中小企業の取り組みはまだまだ進んでいないようだ。環境問題に対して自社が取り組んでいくべきことについて、改めて社内周知や教育・啓蒙を進めるとともに、従業員がどの程度意識を向けているかを確認しておきたい。

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