株式会社シービーティーは2022年8月23日、「電子帳簿保存法の改正に関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年8月8日~9日で、「電子帳簿保存法」という言葉を知っている、従業員数300名以下の中小企業経営者101名から回答を得た。本記事では、2022年1月に施行済の「電子帳簿保存法」への各社の対応状況について、回答者のフリーコメントを交えて紹介する。
改正「電子帳簿保存法」について6割の中小企業が未対策。ペーパーレス移行が進まない理由とは

6割は「電子帳簿保存法」への対策ができていない

政府が推進するデジタル移行の一貫として、2022年1月より改正「電子帳簿保存法」が施行となった。これにより、従来は紙での保存が義務付けられていた帳簿書類について、一定の要件を満たすことで電子データによる保存も可能となった。本改正について、中小企業の対応状況はどうだろうか。シービーティーが、「電子帳簿保存法の改正に向けた対策を行っているか」を尋ねると、「行っている」が34.6%と全体の4割を下回る結果となった。
改正「電子帳簿保存法」について6割の中小企業が未対策。ペーパーレス移行が進まない理由とは

対策済み企業の9割は「PDFでの書類保存」を実施

さらに、「対策を行っている」と回答した人に「どのような対策を行っているか」を尋ねると、「PDFでの書類の保存」が85.7%で最多となった。以下、「電子データの保存場所・方法の決定」が62.9%、「管理システムの導入」が51.4%、「文書・ファイルの分類」が48.6%で、上位回答となった。

また、選択肢以外の自由記述では、「税理士との相談」、「対応機材およびソフト、知識を学習中」、「社内インフラ整備と社員教育」などの回答が得られた。
改正「電子帳簿保存法」について6割の中小企業が未対策。ペーパーレス移行が進まない理由とは

未対策とした企業の4割が「管理システムの導入がハードル」と回答

一方で、「対策を行っていない」と回答した人に「対策のハードルとなっていること」を尋ねると、「管理システムが導入されていない」が39.3%で最も多くなった。以下、「電子データの取り扱いに関するノウハウ不足」が29.5%、「改正電子帳簿保存法を理解できる人が少ない」、「運用整備の担当者がいない」、「どのように対応の計画を立てたら良いかわからない」、「業務が忙しく、手が回らない」がいずれも27.9%、「そもそも電子帳簿保存法について深く考えたことがない」が24.6%、「予算がない」が13.1%と続いた。

自由回答で寄せられた声の中には、「取引先への徹底が大変」や「必要な機材やシステムがわからない」、「実務で対応できる人材確保が困難」などの意見もあった。
改正「電子帳簿保存法」について6割の中小企業が未対策。ペーパーレス移行が進まない理由とは
本調査から、改正済の「電子帳簿保存法」に対し、何らかの対策を実施する企業は3割にとどまり、中小企業の多くでは電子データ移行に向けた対応が行われていない実態がうかがえた。自社でのデジタル化を進めるにあたって、電子化で得られる「生産性向上」などのメリットを改めて整理してみても良さそうだ。

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