約4割がSDGsに積極的で前年より増加。一方、取り組んでいない企業が5割超に
国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」について、達成目標の2030年まで10年を切るなか、企業の関心や取り組みはどのように変化しているのだろうか。はじめに、「自社におけるSDGsへの理解や取り組み状況」について尋ねた。すると、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」は14.3%に。2020年6月に実施した前回調査より、6.3ポイント増加した。また、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は25.4%となり、前年比で9ポイント増加。両者を合わせると「SDGsに積極的」な企業は39.7%と、前年比で15.3ポイント増加しており、SDGsに関する企業の関心や取り組みは、前年よりも拡大していることがわかった。
一方で、「言葉は知っていて意味・重要性を理解できるが、取り組んでいない」が前年より8.5ポイント増の41.4%となり、全体で最多となった。さらに、「言葉は知っているが意味・重要性を理解できない」(9.1%)も含めると、SDGsに取り組んでいない企業の合計は50.5%となり、「取り組みを行っている企業」の合計を10ポイント以上上回った。
企業からは、「SDGsに取り組むことで、今まで見えなかった課題が見えてきた。社会貢献だけでなく、新たなサービスを生むなど業界全体の発展につながると思う」(缶詰・瓶詰食品卸売、広島県)や「これまで行ってきた取り組みを、改めてSDGsの項目に落とし込んだことで意識するようになった」(特殊産業用機械機器具卸売、埼玉県)といった意見があがった。
一方で、「中小企業にとって、社会的責任に対し企業の業績への影響が明らかに低く、明確な対応をとるレベルではない」(一般製材、愛媛県)といったマイナス意見も聞かれた。
SDGsへの取り組み状況、半数を超える「大企業」に対し、中小企業では低迷
次に、SDGsに対する企業の意識について、企業規模別に比較した。SDGsに「積極的」と答えた企業は、「大企業」で55.1%と半数を超えた。一方で、「中小企業」では36.6%と、大企業と比べ18.5ポイント、「小規模企業」では31.6%で同23.5ポイント下回った。中小企業と小規模企業でSDGsに取り組む企業は半数以下となり、大企業の意識と比べて大差がみられる結果となった。中小企業からは、「目標が壮大で、取り組みようがない」(食料品加工機械製造、大阪府)や「自社業務の延長線上の事には取り組めるが、コスト人的資源等から新たな取り組みへのハードルが高い」(はつり・解体工事、千葉県)等の意見があがった。
業界別では「金融」「農・林・水産」の半数以上はSDGsに積極的
SDGsに対する企業の意識を業界別にみると、“積極的な業界”のトップは「金融」で56%、次いで「農・林・水産」が55.6%と、この2業界では半数を超えた。一方SDGsに取り組んでいない企業が最も多かったのが「卸売」の52.9%で、以下「運輸・倉庫」(51%)、「サービス」(50.8%)、「建設」(50.4%)と続き、いずれも5割超だった。企業の声では、「農業生産の効率化を通じ、省エネルギーと食料供給を担いたい」(施設野菜作農、大分県)、「自社の取り扱う商品は石油化学商品が多いため、海洋ごみ問題やCO2排出問題などを課題としており、自然に優しい商材の取り組みを推進していきたい」(一般乗用旅客自動車運送、千葉県)などの意見があった。