日本と東南アジアで活動するバイオベンチャー企業群である「ちとせグループ」は2021年5月13日、ENEOS株式会社や花王株式会社、新潟県長岡市などといった9業種20機関とともに、藻類を活用した日本発の企業連携型プロジェクト「MATSURI」を同年4月より始動した。本プロジェクトにより、光合成を活用した藻類の生産を行い、カーボンニュートラルの実現を推進するとともに、パートナー企業間で事業開発を行うことで、人々の生活を支える藻類製品を社会に普及させていきたいという。
カーボンニュートラルの実現を目指し、藻類を活用した9業種20機関の企業連携型プロジェクト「MATSURI」が始動

パートナー企業とともに事業開発を行い、環境問題へ取り組む

ちとせグループでは、藻類の光合成による生成物は、化石資源を代替・補完し、燃料やプラスチック、食品、化粧品などの原料になることに着目。しかし現在、健康食品や化粧品ではすでに藻類を活用した製品が流通しているが、燃料やプラスチックなど、藻類原料の生産コストと製品価格が折り合わないものは、事業化が難しいといった課題がある。

そこで同グループは、藻類培養に関わる設備の開発や物流網の整備、最終製品の開発・販売など、藻類の生産から販売に至る全ての段階でそれぞれの事業を展開し、パートナー企業と一体となって藻類産業の構築を目指していきたいと、2021年4月より企業連携型プロジェクト「MATSURI」を始動。同年5月13日時点で、ENEOS株式会社、三井化学株式会社、日本精化株式会社、株式会社富洋海運、花王株式会社、日本特殊陶業株式会社、本田技研工業株式会社、三菱ケミカル株式会社、興和株式会社、DIC株式会社、富士化学工業株式会社、株式会社日立プラントサービス、池田糖化工業株式会社、武蔵塗料ホールディングス株式会社、Sarawak Biodiversity Centre、新潟県長岡市、佐賀県佐賀市、山梨県北杜市(申込順)が参画している。

パートナー企業の同プロジェクトへの参加目的を抜粋すると、
○ENEOS株式会社:低炭素・循環型社会実現のため、燃料のみならず持続可能な藻類事業の展開
○株式会社富洋海運:海外での藻類の大規模培養・藻類由来燃料の購入、運輸
○池田糖化工業株式会社:食分野における藻類由来の製品の開発・販売
○武蔵塗料ホールディングス株式会社:塗料分野における藻類由来の製品の開発・販売

など、いずれの企業も自社事業において、さらなる展開や藻類製品の開発を目指している。

同プロジェクトでは、それぞれ異なる分野で藻類製品の開発を志しているパートナー企業とともに、藻類を構成する成分を最大限に活用することで、あらゆる分野で収益性を確保した産業構造構築の実現を図る。また、サステナブルな社会づくりに向けた取り組みを徹底・開示していくことで、透明性のある情報発信をし、消費者がより身近に感じられるよう努めるという。

具体的には、2025年に世界最大となる2,000haの藻類培養設備を建設し、さまざまな製品の原料として1kgあたり300円以下となる生産コストで、年間140,000tの藻類を供給できる体制を確立し、藻類由来の製品を消費者へ届ける考えだ。これにより、カーボンニュートラルの実現や、SDGs「13:気候変動に具体的な対策を」に貢献していくとともに、新産業を創り出していくパートナー企業を今後も広く募っていきたいという。

近年、カーボンニュートラル実現やSDGs目標達成など、環境や暮らしへの取り組みに参加している企業も増えつつある。こうした企業の強みを活かし合えるプロジェクトへの参画を通して、さらなる企業発展や事業展開を目指してみてはいかがだろうか。

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