上司・部下間で「コミュニケーションの充足度」に差がある項目とは
上司と部下のコミュニケーションは以前から問題視されてきたが、テレワーク環境下だからこそ浮き彫りとなった問題点はあるのだろうか。はじめに、「コミュニケーションについてどの程度十分だと感じているか」を、内容ごとに6点満点で評価してもらった。すると、全体的に一般社員より管理職の方が平均値は高く、部下とのコミュニケーションに満足している傾向が見て取れる。なかでも一般社員に比べて上司の点数が高かった項目は、「5.仕事の意味について説明」、「8.期待をかけていることを伝える」、「9.貢献に対する感謝」、「12.会社や自部署の長期的な目標を話す」、「13.意見やアイディアを求める」の5項目だった。
一方で、一般社員が管理職の点数を上回ったのは、「3.間違いや足りない点の指摘」、「15.世間話やプライベートに関する雑談」の2項目となった。
「重要だと考えている項目」は管理職の方が多い傾向に
次に、「前設問の各項目に対する重要度」を、同じく6点満点で示してもらった。その結果、一般社員に比べて管理職の方がそれぞれの項目をより重要視している傾向にあり、特に大きな差があったのは「8.期待をかけていると伝える」、「9.貢献に対して感謝」、「11.心身の健康状態について話をする」、「13.意見やアイディアを求める」の4項目だった。一方の一般社員は「1.仕事の進捗に応じたアドバイス」や「3.間違いや足りない点を指摘すること」などの点数が高く、上司が重要視している4項目については重要度が低いと考えていることが見て取れる。テレワーク頻度が増すと、コミュニケーションの重要度も高まる傾向に
前述のように、一般社員と管理職で傾向の違いがあることから、「それらの項目がテレワークによって影響を受けるのか」を調べた。管理職側の回答としては、「テレワーク頻度がほぼ毎日」という人は、「15.世間話やプライベートに関する雑談」が不十分だと認識していることがわかった。また、重要度については「2.ほめる」、「6.要望する」、「7.関心事や仕事のやりがいについて話をする」、「10.キャリアや成長課題について話す」、「14.上司に対する要望を確認する」という5項目が高い傾向に。非対面だからこそ、コミュニケーションを意識的にとろうとする様子がうかがえる。テレワークにより「上司にうまく伝えられない」と難しさを感じる声も
次に、一般社員に対して、「上司に言えなかったことや言いにくかったこと」を尋ねた。その中から「テレワーク関連」の具体的な内容を抜粋すると、「対面で話せないために言いたいことがうまく伝えられない」、「リマインドしづらい」、「なんとなく言い出せずに出社しなくていい日も出社してしまっている」などの声があがった。上司も部下に「伝え方を気にして言いづらい」と回答
次に、管理職に対して「部下に言えなかったことや言いにくかったこと」を尋ねた。テレワークに関する具体的な記述を抜粋すると、一般社員以上に「伝え方のニュアンスを気にして言いづらい」との回答が目立った。相手の反応が見えないために、伝える機会を逸して自らミスをカバーしたり、タイミングよく伝えられなかったりするなどの葛藤がうかがえる。テレワークに対して管理職は懸念や課題を抱くも、一般社員は普及を望む
最後に、「テレワークに対する考えとして当てはまるもの」を尋ねた。その結果、一般社員よりも管理職のほうが高い割合だったのは、「2.会社への愛着を感じにくくなる」、「3.仕事の自己管理能力が求められる」、「7.発想を広げたり、アイディアを出し合ったりするのが難しい」、「9.気持ちを察した上でのコミュニケーションが難しい」などとなり、コミュニケーション上の課題に関する項目で、より不安を抱えていることがわかった。一方、一般社員は、「8.対人関係のストレスが減る」などポジティブに捉えているビジネスパーソンも多く、「22.テレワークがもっと普及するとよい」との回答は49.9%と約半数におよび、管理職との差が大きく開いた。