不正発生は2年で6%増加
新型コロナウイルス感染症拡大によりリモートワークが普及した2020年、企業活動における不正調査はどのような結果を見せたのだろうか。まず、「不正の発生状況」を2018年と2020年で比較した。すると、「過去3年間で不正が発生した」と回答した企業は、2018年は48%だったが、2020年には54%と、6%増加していることが判明。具体的には、「会計不正が発生した」が31%から40%に、「海外関係会社で最も多額の不正が発生した」が16%から24%となり、いずれも増加している。一方で、「不正に対する危機意識」を尋ねると、「高まった」は71%から61%に低下していることが明らかとなった。コロナ禍で情報管理を徹底したのは約5割にとどまる
次に、「在宅勤務の導入に際して追加的に必要となった対応」については、「インフラへの投資」が68.38%と最多で、その内容はネットワークやサーバの強化、会議システムなどの追加となっている。一方、セキュリティレベルやモニタリングの強化といった「管理情報の徹底」は49.88%と、情報不正のリスクを取り締まる対策は十分ではないことがうかがえた。喫緊の課題は「内部監査」や「内部通報」の強化
続いて、「不正ガバナンスの状況」についての質問で、「内部監査やコンプライアンスの人員」を尋ねると、「10人以下」という回答が72%にのぼった。また、「不正に関する内部通報年間件数」は、「5件以下」が79%と約8割を占める。コロナ禍でのリモートワークでは、オフィス勤務時以上の不正拡大も懸念される。「内部監査」と「内部通報」は不正を検知する2大ルートとなっているため、セキュリティ管理の強化は急務といえるだろう。さらに、「業務プロセスの半分以上が紙依存」とした回答は、アジアの海外子会社で85%におよぶ。日本国内では18%デジタル化が進んでいるのに対し、アジア圏での遅れが確認された。そのほか、「社内取締役に有事の主導を期待するか」については、16%と少数にとどまった。