株式会社日本能率協会総合研究所は2020年11月25日、「テレワークにおけるコンプライアンス上の課題」の調査結果を発表した。調査期間は2020年9月4~6日で、同年7~8月に週1回以上テレワーク(リモートワーク)を行った全国のビジネスパーソン1,000名から回答を得た(社長や役員など経営層を除く)。これにより、テレワーク中にされて不快に思う行為や、新たなコンプライアンスの実態が明らかとなった。
テレワーク中のハラスメント「テレハラ(リモハラ)」とは? 働く人が感じる不快さと、新たなコンプライアンスの課題を探る

テレワークは自宅からがほぼ10割、しかしセキュリティ面に対する対策は不十分

働き方改革や新型コロナウイルス感染症対策の一環としてテレワークが浸透するいま、コンプライアンスに関わる課題として、どのようなものが見えてきているだろうか。

はじめに「テレワークを実施している場所」について質問すると、「自宅」が98.3%と、ほぼ全員が在宅で勤務をしていることがわかった。それ以外の答えはわずかで、サテライトオフィス」(5.9%)、「飲食店や喫茶店」(3.4%)、「シェアオフィス」(2.2%)となった。
テレワーク中のハラスメント「テレハラ(リモハラ)」とは? 働く人が感じる不快さと、新たなコンプライアンスの課題を探る
次に、「テレワークで使用している端末」については、「会社貸与の端末」が79.6%で最も多く、次いで「会社から許可された私物の端末」が18%だった。ただ、「会社から許可のない私物端末」との回答も8%あり、一部情報セキュリティリスクを抱えるケースも存在していることが判明した。
テレワーク中のハラスメント「テレハラ(リモハラ)」とは? 働く人が感じる不快さと、新たなコンプライアンスの課題を探る
続いて、「テレワーク時にのぞき見されるのを防止する対策をしているか」を尋ねと、「対策をしている」が28.3%、「のぞき見されない環境にある」が28%と、半数以上は情報セキュリティを考慮し、対策していることがうかがえた。一方「対策をしていない」とした人も43.7%おり、テレワーク実施のコンプライアンス配慮は、充分になされているとはいえない実態が浮き彫りになった。
テレワーク中のハラスメント「テレハラ(リモハラ)」とは? 働く人が感じる不快さと、新たなコンプライアンスの課題を探る

テレワーク勤務中に感じた不快な出来事とは?

次に、「テレワーク実施中に受けて不快に思ったこと」について尋ねると、「高い負荷を伴う過剰な業務依頼」(24.4%)が最も多い結果に。次いで、「行き過ぎた叱責や人格を否定する発言」(18.4%)、「頻繁に仕事の進捗について報告を強要」(17.4%)など、高圧的な発言や強要をハラスメントと感じ、不快感を抱くビジネスパーソンが多いことが明らかとなった。
テレワーク中のハラスメント「テレハラ(リモハラ)」とは? 働く人が感じる不快さと、新たなコンプライアンスの課題を探る

テレワーク実施で「生産性」はどのように変化したか?

続いて、「テレワークによって生産性に変化はあったか」と尋ねた。その結果、「向上した」が19.4%、「変化はない」は46.7%と、生産性はこれまでと同様、またはそれ以上に保たれていることがわかった。
テレワーク中のハラスメント「テレハラ(リモハラ)」とは? 働く人が感じる不快さと、新たなコンプライアンスの課題を探る

約8割がテレワークに前向き

最後に、「今後もテレワークを継続したいか」を尋ねた。すると、「頻度をあげたい」が22.7%、「頻度を維持したい」が55.5%となり、合計78.2%が現状維持、または今以上に増やすことを望んでいた。テレワーク実施における課題は幾つか挙がったものの、8割近くがテレワーク勤務に前向きであることが判明した。
テレワーク中のハラスメント「テレハラ(リモハラ)」とは? 働く人が感じる不快さと、新たなコンプライアンスの課題を探る
テレワークは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「新しい生活様式」のひとつとして導入した企業が多いと思われるが、多くのビジネスパーソンが前向きな姿勢で取り組んでいるようだ。一時的な働き方ではなく、今後も継続するにあたり、企業はより一層セキュリティやコンプライアンスに配慮した対策を講じる必要があるだろう。

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