約5割が「テレワーク環境におけるセキュリティ対策」を重視
新型コロナウイルス感染症拡大下での緊急事態宣言発令を受け、企業はIT・働き方やそれにともなう施策をどのように変容させたのだろうか。はじめに、「緊急事態宣言下で業務を円滑に遂行するために重視した点」を聞くと、最も多かったのは「テレワーク環境におけるセキュリティ対策」で、およそ半数に上る49.1%が選択した。次いで、「仕事環境の整備」が41%となった。緊急事態宣言により、多くの企業がテレワークへの転換を求められ、「仕事環境の整備」と共に、情報漏洩などの「セキュリティ・インシデント防止」を実施する動きがあったことが判明した。
コロナ禍で「働き方改革」が大きく進展
続いて、働き方改革に向けた取組み状況を、2020年1月時点と比較した。すると最も変化が大きかった取り組みは「テレワーク(モバイルワーク)制度の整備を実施」で、1月が27.6%だったのに対し7月は42.4%となり、約15%増加する結果に。また、「在宅勤務制度の整備」は25.5%から39.6%(約14%増)、「働き方改革に伴うITシステムの導入」は27.6%から35.9%(約8%増)という伸び率であることが判明した。同社によると、過去の調査では働き方改革に向けた取り組みは緩やかな進展にとどまっていたというが、コロナ禍で機に一気に進展したことがうかがえる。
セキュリティ対策は「コミュニケーションサービスの利用」と「セキュリティ対規定の整備」で大きく増加
また、「働き方改革実現に向けた、セキュリティ面での対策」を2020年1月時点と比較すると、最も増加したのは「在宅勤務、テレワーク用のセキュリティ規程の整備と教育」で、27.3%から40.2%(約13%増)となった。次いで、「法人向けのコミュニケーションツール(Web会議/チャット/メッセンジャー)の利用」が37%から45.1%(約8%増)に。コロナ禍での新たな勤務環境に対応したセキュリティ規程やシステムが、半年足らずで急速に整備されたことが判明した。およそ3割が取引先選定時に「プライバシーマーク」や「ISMS」を重視
さらに、テレワーク環境時のセキュリティ対策として、新型コロナ以前より取引先における「プライバシーマーク」および「ISMS」の取得状況を重視するようになったかを尋ねた。その結果、「重視するように変わった」が、共に30%を超える結果に。さらに、「(新型コロナ)以前から重視しており、今後も重視する」との回答を合わせると、それぞれ約60%となった。コロナ禍において、直接取引先へ訪問しての評価が困難になったことで、「プライバシーマーク」や「ISMS」のような第三者認証取得状況が、選定評価の判断基準としてより重要度を増したと考えられる。
コロナ禍で「第三者認証」の取得予定企業が増加
また、新型コロナのパンデミック前後で企業のプライバシーマークとISMSの認証取得状況を比較した。「既に取得済み」との回答は1月から大きな変化はなかった一方で、7月調査で「今後取得予定」とした企業は、プライバシーマークで17.1%、ISMSは18.3%となり、それぞれ1月調査よりも増加している。「電子契約」の検討企業が増加
最後に、テレワークを阻害する要因の一つとして「ハンコ」問題が明るみになり、電子契約への関心が高まるなか、「電子契約の採用状況の変化」を聞いた。その結果、「複数もしくは一部の取引先間で電子契約を採用」とした企業は、1月と比べ大きな変化はなく、約4割だった。一方で、「今後採用を検討中(自社開発および外部サービス利用)」とした企業は、1月の27.5%から35.6%へと、約8%増加した。テレワーク下の事務手続きの効率化を図るため、紙ベースの契約書から電子契約への移行が進みつつあるようだ。