テレワーカーの約6割が何かしらの不安を抱えている
新型コロナウイルス感染症拡大の影響にともない、急遽テレワークを導入した企業も多いだろう。調査ではまず、テレワーカー本人がどのような不安を抱えているのか尋ねた。すると「相手の気持ちが察しにくい」が39.5%と最多で、次に「仕事をさぼっていると思われないか」の38.4%が多い結果となった。不安感に対する12個の設問のうち、1つでも該当すると答えた人の割合は64.3%で、半数以上のテレワーカーが何かしらの不安を抱えていることが明らかとなった。テレワーカーの割合が2~3割のとき、最も心理的ストレスが生まれやすい
社内におけるテレワーカーの割合と、テレワーカーが感じる不安感や孤独感と比較してみたところ、職場のテレワーカーが2~3割のときに、テレワーカーの不安感が最も高いことがわかる。テレワーカーと出社者が混在している場合、テレワーカーは「孤立しているように感じる」、「仲間がいないように感じる」といった感情を抱えやすく、心理的ストレスへのケアが必須といえるだろう。出社者側が感じるテレワーカーに対しての不満
一方で、出社者はテレワーカーをどのようにみているのだろうか。出社者がテレワーカーに対して感じている疑念や不満について尋ねてみたところ、「さぼっていると思うことがある」が34.7%、「相談しにくい」が32.3%と、評価やコミュニケーションにおいて疑念を抱いていることがわかる。また、出社者の58.1%は、テレワーカーに対して1つ以上の不満を抱いており、「一緒に仕事がやりにくい」、「不公平感がある」といった感情を持っていることが見て取れる。テレワーカーの増加に比例して、出社者の疑念や不満が増加
職場内のテレワーカーの割合は、出社者の疑念・不満感の高まりに影響があるのだろうか。この調査では、職場内のテレワーカーが増えるに比例して、出社者がテレワーカーに対して抱く疑念や不満が増えていることがわかった。出社者の割合が少なくなればなるほど、出社者は「損をしている」という感情が湧きやすいのではないかと推測できる。テレワークではさまざまなコミュニケーションが減少傾向に
テレワーカーのマネジメントではどのような課題があるのだろうか。調査によると、実際に会って顔を合わせる「対面」と、ツールを用いた「非対面」とでは、非対面時の方が「報告」、「連絡」、「相談」、「雑談」の全てにおいて減少傾向にあることがわかった。特に「雑談」に関して、「Web会議、テレビ会議」では数値が低く、気軽にコミュニケーションがとりにくい状態になっていることがわかる。今後も、新しい働き方としてテレワーカーと出社者が混在する職場は増えていくだろう。テレワーカーがストレスを抱えやすい状況と、出社者側が不満を抱えやすい状況とが異なるため、双方への配慮が不可欠だといえる。
また、テレワークでのコミュニケーションを円滑におこなうためには、マネジメント層は「部下の情報を把握するための『観察力』を高めること」、「部下とのコミュニケーションを意識的に増やすこと」などが求められてくるのではないだろうか。
アフターコロナも継続的にテレワークを進めていく企業では、テレワーカーと出社者の双方が不安や不満を抱えずに業務を進められるよう、一人ひとりに寄り添ったマネジメントをおこなっていく必要があるかもしれない。