在宅勤務を実施している企業のうち、約3割は制度がないまま在宅勤務を開始
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、在宅勤務を実施した企業では「制度化」はどの程度されていたのだろうか。現在、在宅勤務をしている回答者に「在宅制度の有無」について質問したところ、回答者が所属する企業の65.8%で「在宅勤務制度がある」と回答。一方で「正式に制度化されていない」状態のまま在宅勤務をしている企業は34.2%で、制度を整える間もなく移行した企業が一定数いたことがわかった。マネジメント層での業務負荷や指示が在宅勤務により増加傾向に
在宅勤務に移行したことにより、役員・経営者のマネジメント業務は変化したのだろうか。役員・管理職を対象に「在宅後の環境の変化」について聞いたところ、全項目において「変わらない」との回答が多いものの、「マネジメント業務の負荷」と「部下への業務指示」で、35%を超える回答者が「増えた」と感じていることがわかった。不慣れな在宅勤務に加え、遠隔で部下を管理しなければならなかったことから、業務上の負担が増加したものと考えられる。「部下の業務内容が把握しづらい」のが在宅勤務の不安
次に、在宅勤務において役員・管理職が「不安に感じていること」について質問すると、「部下の業務内容が把握しづらい」と答えたのが25.4%と最多であった。次いで、「部下の労務管理がしづらい」(17.1%)、「部下の指示が伝わりづらい」(15.6%)となった。RHLに寄せられた報告では、部門間での対応に統一性がないことで、従業員間の齟齬や会社への不信感につながったというケースがあったという。マネジメント業務で気をつけていることは「特になし」が4割近く
「マネジメント業務で気を付けていること」について質問したところ、「こまめな情報発信・連絡」が15.4%、「適度なコミュニケーション」が10.4%と、在宅勤務になったことで、積極的にコミュニケーションを取り、情報共有に努めている役員・管理職がいることがわかった。一方で、「特になし」と答えた回答者は4割にものぼり、業務負荷の増加やマネジメント上の不安はあるが、その状況に打開策を打ち出せていない企業が多いことが見て取れる。マネジメント業務の工夫が課題となる在宅勤務
最後に、役員・経営者を含む会社員1,074名に、コロナ終息(収束)後も在宅勤務を継続した方が良いかと尋ねた。「継続したほうがよい」の34%、「部分的に継続したほうがよい」の39.9%を合わせ、計73.9%が「継続した方がよい」と感じていることがわかった。今後は働き方改革の一環として、在宅勤務を制度化・継続させていく企業は増える傾向にあるのではないだろうか。働く環境がオフィスから一変、在宅勤務に切り替わったことで、働きやすくなったなど、メリットを感じた人もいるだろう。在宅勤務を制度として取り入れる上では、マネジメント層と社員の適切なコミュニケーションや管理の工夫が必要となってくる。マネジメント層の視点だけではなく、社員個々の考え方や、個性、環境などを踏まえた適切な対応が、これから企業には求められてくるだろう。