エン・ジャパン株式会社は2023年8月30日、「就業前後のギャップ」の調査結果を発表した。調査期間は2023年7月4日~31日で、就業者2,626名より回答を得ている。本調査により、入社前後でギャップを感じた経験やギャップによる退職の有無、ギャップを減らすために有効なことなどが明らかとなった。
約8割が“入社後ギャップ”を実感し早期離職も。仕事内容のギャップは「1ヵ月以内の離職」を招く恐れ

大半が入社前後でギャップを実感。「仕事内容」や「職場の雰囲気」にギャップか

新入社員は入社前の企業説明や面接を通じ、業務内容や職場環境についてさまざまなイメージを抱いて入社するだろう。しかし、入社後の現実が入社前に抱いたイメージと大きく乖離していたことから、早期離職につながってしまうケースもある。では実際に、入社前後でギャップを感じた経験がある人はどの程度いるのだろうか。

はじめにエン・ジャパンは、「入社前後でギャップを感じたことがあるか」を尋ねた。すると、「ある」は79%で8割に迫った。

また、「どのようなポイントにギャップを感じたか」を尋ねたところ、「仕事の内容」や「職場の雰囲気」、「仕事の量」が上位を占めたという。
入社前後でギャップを感じたことがあるか

入社後ギャップによる退職原因のトップは「職場の雰囲気」

続いて同社が、就業前後でギャップを感じた経験があるとした人を対象に、「就業前後のギャップが原因で仕事を辞めたことがあるか」を尋ねた。すると、「ある」との回答が過半数を占めたとのことだ。

そこで、「退職の原因になった一番のギャップポイント」を尋ねたところ、「職場の雰囲気」(29%)が最も多く、以下、「仕事の内容」(24%)、「時給・給与」(9%)と続いた。

「ギャップの具体的な内容」を自由回答で聞くと、「『みんな仲が良い』と聞いて安心して入社したが、新人を受け入れる雰囲気ではなく、仲が良い人たちだけでいればよいというような排他的な雰囲気だった」、「軽作業と説明があったが、実際は力作業がメインだった」、「景気が悪く、事前連絡なしに時給を減らされた」などの声が聞かれたという。
就業前後のギャップが原因で仕事を辞めたことがあるか

過半数が“就業前後のギャップ”により「入社から3ヵ月以内」に退職か

続いて同社は、「退職した仕事における入社から退職までの期間」を聞いた。すると、「1ヵ月以内」(26%)が最も多く、以下、「2~3ヵ月以内」(25%)、「2年以上」(16%)が続いた。就業前後にギャップを感じて入社3ヵ月以内に離職した人は、半数を超えることがわかった。

また、入社から退職までの期間を退職原因別に見ると、「1ヵ月以内」に退職した人は「仕事の内容」にギャップを感じた人が多かったとのことだ。他方で、「2年以上」就業してから離職に至った人の退職理由では、他項目よりも「時給・給与」や「残業時間」が多い傾向にあったという。
退職した仕事における入社から退職までの期間

ギャップを減らすには“入社前のすり合わせ”が有効か

最後に同社は、「ギャップのない就業をするために有効だと思うこと」を尋ねた。その結果、「良い面だけでなく悪い面も教えてくれる会社を選ぶ」(63%)、「疑問・不安な点は入社前に必ず確認する」(61%)の2つが上位だった。入社後のギャップを減らすためには、企業の長所や短所、入社にあたっての疑問や不安点を事前にすり合わせておくことが有効と言えそうだ。

あわせて、「入社後に『良いギャップ』『嬉しいギャップ』を感じた経験」を自由回答で尋ねたところ、「仕事量が多く、難しい内容なのにゆとりを持って仕事をしており、アットホームな雰囲気に良いギャップがあった」、「社員と同じ量の仕事をしてもらいたいという就業先だったが、業務が慣れた頃に時給の見直しをしてくれて時給がアップした」などの声があがったという。
ギャップのない就業をするために有効だと思うこと
本調査結果から、「入社前後でギャップを感じた経験がある」との回答が8割に迫ることがわかった。また、ギャップが原因で退職した理由として「職場の雰囲気」が最多であることも明らかとなった。新入社員の離職を防ぐには、入社前後のギャップを減らすための対策を講じる必要があるだろう。企業においては、適切な情報発信や既存社員とコミュニケーションが取れる機会を設けるなど、企業風土を理解できるような取り組みを行なうとともに、入社後のフォロー体制の構築などを検討してみてはいかがだろうか。

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