アフターコロナでは多くの企業で「オフィス回帰」の流れか
新型コロナウイルス感染症の5類移行を境に、一部の企業ではテレワークを廃止し、従業員にオフィス出社を要請する「オフィス回帰」が進んでいる。アフターコロナのフェーズに入った今、従業員の働き方や満足度に変化はあるのだろうか。まず同社は、以下3つの時期に分けて、「コロナ前後の働き方の推移」を調査した。
●コロナ前(第1回の緊急事態宣言が発令された2020年4月より前)
●コロナ禍(2020年4月~2023年4月)
●コロナ後(新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行した2023年5月以降)
すると、「フル出社」は「コロナ禍」が9.5%だったのに対して「コロナ後」が38.5%で、約4倍だった。コロナ前(77.5%)と比べるとフル出社は約半数にとどまっているものの、多くの企業がオフィス回帰の流れにあることが明らかとなった。
一方、「ハイブリット勤務」はコロナ後も46.2%と、コロナ後の働き方のなかでは最も多い結果となった。同社はこれを受け、「コロナ禍を経て、出社と在宅勤務の両方のメリットを享受できる『ハイブリット勤務』が働き方のメジャーになりつつあるのではないか」との見解を示している。
出社回数が増えるほど「働き方の満足度」は下がる傾向
続いて同社が「働き方と満足度」の関係性を調べたところ、「テレワーク」では働き方に「満足」との回答が78.6%だった。以下、「満足」とした回答者は「ハイブリッド勤務(週1~2出社)」で67.8%、「ハイブリッド勤務(週3~4出社)」で45.6%、「フル出社」で33.3%となった。出社回数が増えるにつれて満足している人の割合は下がる傾向にあることがわかった。「フル出社」の満足度は男女で真逆の結果に
続いて同社は、「『フル出社』に対する満足度」を男女で比較した。すると、女性は「不満」(40%)が最も多かった。一方、男性は「満足」(40.9%)が最多だった。女性からの自由回答では、「出社のための身支度の時間が無駄と感じるから」、「テレワークと出社のハイブリッド勤務で十分に仕事を回せていたので、出社する意味が見いだせない」などの声があがったという。
一方で男性からは、「テレワークだとメリハリがなく生活習慣が乱れてしまう」、「出社しているほうが社内のコミュニケーションがとれる」といった声が聞かれたとのことだ。
フル出社になったことで仕事とプライベートの区切りがつきやすく、業務効率が上がったとのメリットを感じる人がいる一方、在宅勤務で問題なく業務ができている人は、出社する意味が見いだせずにデメリットが多いと感じていることがうかがえる。
「ハイブリット勤務」は半数以上が満足も、出社回数によっては不満の声
次に同社は、男女別に「『ハイブリッド勤務』に対する満足度」を比較した。その結果、男性と女性で大きな違いはなく、過半数の男女が「満足」(女性:53.8%、男性:57.3%)と答えた。「満足」とした人の意見には、「たまに出社して顔を合わせることで、モチベーションを保つことができる」、「子どもがいると、今までは学級閉鎖の度に休みを取らなければならなかったが、現在は在宅でも対応できるようになったのでストレスがなくなった」との声が聞かれたという。
一方、「不満」とした人のコメントには、「仕事とプライベートの切り替えが曖昧になってしまうこともあり、フル出社の方が性格的には合っている」、「フルテレワークに慣れたライフスタイルが出来上がったので、週3出社でも正直きつい」との意見があったようだ。
必要に応じて出社・在宅勤務を選択できる人は、業務効率を保ちながらワークライフバランスを整えることができるため、「満足」と感じているようだ。一方で不満の声を見てみると、ハイブリット勤務そのものに対する不満の声はほとんどなく、ライフスタイルの変更を迫られたり、出社回数を増やされたりしたことに対する意見が多い結果となった。
男女の7割超が「テレワーク」に満足。一方で、“個人での環境構築が負担”との意見も
最後に同社は、「『テレワーク』に対する満足度」を男女別に比較した。すると、テレワークに「満足」とした回答率は男女ともに高い結果となった(女性:76.2%、男性:81%)。「満足」とした人の意見では、「通勤の負担が減り、仕事の効率もパフォーマンスもよくなったから」、「飲み会の数が減り、時間とお金に余裕が生まれた」などの声が聞かれたという。
一方、「不満」とした人の意見では、「必要な設備や環境の構築は個人で賄うのは負担が大きい」、「プロジェクト自体がない時は仕事もなく他の仕事とのスケジュールが組みにくい」との声があったようだ。
同社は、「テレワークのメリットは、自分自身で生活のあり方を柔軟にアレンジできる点。自宅で集中して効率よく作業を進められる環境が整えば、多くの人にとって満足度の高い働き方と言えそうだ」との見解を示している。